自治体の会計は公のものですから、市民に公開される財務諸表に載らない“隠れ借金”(簿外負債)というのは基本的にあってはならないわけです。しかし、京都市はあたかも錬金術の様なやり口で“隠れ借金”を増やし続けております。

その内の1つが臨財債(臨時財政対策債)の発行と返済を使った錬金術です。臨財債は赤字地方債で、それ自体に多くの問題を抱えているのですが、今回は本題でありませんので、そこは省きます。この臨財債は、京都市の借金なんですが、返済は国が行うというルールのもとで運用されており、実際に、国から毎年返済分のお金が京都市に振り込まれています。

さて、臨財債というのは全国一律で3年据え置いて、その後の27年で分割返済をすることが決まっています。しかし、京都市は何故か5年据え置いて、25年の分割という独自のルールを設けているのです。上述の通り、返済のお金は国から京都市に振り込まれるのですが、これは全国一律のルールで振り込まれます。つまり、据え置き期間が終わった4年目には国から京都市に入金があります。しかし、京都市が実際に返済するのは6年目からになります。入金はあるけど、返済はまだな訳ですから本来はこれを置いておかなければなりません。しかし、残念ながらこの置いとかなければならない返済原資が、全額、流用されて(他の用途に使われて)います。6年目から困りますよね?困らないんです。臨財債の発行は毎年されるからです。毎年毎年、この据え置きの2年の空白分を流用し続けることで当面の返済には困りません。まさに錬金術です。しかし、長期的な目で見れば、使ってしまった返済原資は将来の税収から返済していかなければなりません。これは、財務諸表に載ってきませんので、“隠れ借金”ということになります。門川市長の言う黒字決算の背景には、こういった誤魔化しがあるのです。

“隠れ借金”はいくらあるか?平成26年度の決算時点で247億円です。過去の推移をみていると、おおよそ毎年25億円~30億円のペースで増え続けています。典型的な将来世代への負担の押し付けですが、まさに現在進行形で悪化しているわけです。先般の3月の予算議会でも市長総括質疑でこの件を追求しましたが、9月~10月の決算議会でも引き続き追及し、次年度の発行分からでも本来の3年据え置き27年分割に戻す様に要請していきたいと思います。