保育園と同様に、学童クラブ事業においても待機児童がゼロであった旨が、京都市から公表されています。学童の利用児童は、2012年8,889人、2013年9,236人、2014年9,819人、2015年11,628人、2016年12,701人と鰻登りに増えるニーズに何とか対応しているというのが現状です。両親共働き世代の増加が背景にありますが、とりわけ、2015年に対象年齢が小学校低学年から小学生全体に拡大されたことも大きな要因です。

さて、学童クラブに関しては、2015年度に子ども・子育て支援新制度が国で施行され、基準が設定されました。

①対象学年が小学校3年生までから小学校6年生まで拡大
②児童1人につき1.65㎡以上の面積
③1クラス40人以内及び1クラス2名以上の職員の配置

対象学年の拡大により、利用児童数が大幅に増えるとともに、面積基準により施設に入所できる児童数は限定され、また、職員もしっかり配置しなければいけないわけです。以前より、小学校高学年の預け先がないことや学童の環境の悪さは指摘されておりましたので、改善されたことは喜ばしいことです。

しかし、利用児童が増え続ける中で、面積基準や人員基準が厳しくなると当然受け入れ枠の問題が発生します。京都市では、学童クラブ機能を有する一元化児童館を131館設置するとともに、児童館のないエリアには物理的な制約の中で、児童館の分室、学童保育所、放課後ほっと広場、地域学童クラブなど様々な代替施設を作って対応しております。

今回、教育福祉委員会の質疑で新たにわかったことがありました。それは、子ども・子育て支援新制度の新基準は、既存施設では5年間の経過措置があり、基準を守らなくて良いということです。つまり、以前からあった施設では面積基準等はまだ守らなくて良いということです。京都市も、この経過措置を利用して学童の受け入れキャパのバッファーにしているということがわかりました。待機児童が発生しそうな場合は、基準を超えて受け入れることで待機児童ゼロを維持しているわけです。

もちろん、基準を満たして待機児童をゼロにすることが望ましいですが、物理的な制約の中で苦肉の策と言えるでしょう。しかし、問題は5年の経過措置が終わる「2020年度」です。これからも利用児童が増え続ける中で、経過措置のバッファーも突然使えなくなるわけです。今のまま行けば、学童クラブの待機児童は2020年に一気に顕在化する恐れが高いと言えます。

京都市は、生活圏域ごとの一元化児童館の設置は完了したとの考え方に立っていますが、この「2020年問題」を考えると計画の再構築が必要です。