平成29年京都観光総合調査の結果が発表されました。観光客数は5,362万人と5,000万人台を維持し、宿泊客数は過去最高の1,557万人、外国人宿泊客数も過去最高の353万人を記録しました。観光消費額も1兆1,268億円とこちらも過去最高を更新しました。こういった数字だけを見ていると、好調に推移しているようにみえる京都市の観光事業ですが、いくつかのイエローサインが出始めました。

 それは、観光消費額の内訳です。全体の観光消費額は、前年度比で406億円増となっていますが、宿泊代が365億円、入場料・拝観料が153億円のプラスとなっているのに対し、買い物代が54億円、飲食代が135億円のマイナスとなっています。宿泊客数が増えていますので、宿泊代がプラスになるのは当然であり、むしろ買物代と飲食代がマイナスになっていることがイエローサインです。

 原因を分析すると、買物代では日本人観光客の1人当たりの消費単価が下がっていることと、日本人日帰り客が3,764万人から3,415万人と前年比約10%も減少していることによります。また、飲食代では日本人観光客の1人当たりの消費単価が下がっていることによります。本年頭に示された京都市の方針では、観光客数至上主義から1人当たりの消費単価を上げることで経済効果を高めていくと決めたところですので、買物代と飲食代の観光消費額が減っていることは、目指すべき方向と逆行する結果が出ているといえます。

 また、宿泊代や入場料・拝観料がプラスになることは悪いことではありませんが、どちらかというこれらはホテルや寺社仏閣など比較的大規模で利益の上がっている事業者への収入が増えているといえます。一方、買物代や飲食代のマイナスは、小売店・飲食店など中小零細企業を多く含む事業者への経済効果が下がっていることを意味します。

 市民の観光への不満が高まる中、やはり観光で京都市が経済的に潤うこと、また潤いを実感してもらうことが大切です。そのためには、広く多くの事業者に経済効果がある買物代や飲食代への消費が増えることが望まれます。今回の調査結果を真摯に受け止め、広く市民に経済効果を感じてもらえるように引き続き取り組んで参ります。