中京区選出の大津裕太です。維新京都国民市会議員団を代表して、胡内大輔議員・盛本英靖議員とともに市政一般について質問します。
1点目は、障害者の就労支援についてです。
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定の実施により、とりわけ障害者就労継続支援A型事業所の閉鎖が全国的に相次いでおります。本市でも同様の影響を受けており、報酬改定が行われた令和6年4月以降、12月までに8事業所が、令和7年4月までに12事業所が閉鎖致しました。
報酬改定の中でも、影響の大きいのが、「生産活動収支」に関する報酬ルールが大幅に変わったことです。
就労継続支援事業所は、「利用者の就労により得た売上」と「事業所が自治体から受け取る報酬」を主な収入源とし、「利用者の就労に対する賃金支払い」と「事業所の運営に関わる支払い」の、大きく分けて2つの支出があります。また、利用者の賃金は、B型事業所は雇用契約ではないので最低賃金がありませんが、A型事業所は雇用契約であるため、最低賃金の保障が必要となります。
これまでから、「利用者の就労に対する賃金支払い」は「利用者の就労により得た売上」から、「事業所の運営に関わる支払い」は「自治体から受け取る報酬」から、支出することが原則とされてきました。しかし、A型事業所では現実的には利用者の賃金に満たない売上しかあげられていない事業所が多く、自治体からの報酬を一部、利用者の賃金にまわして運営しているのが実態でありました。
そんな中、令和6年度の報酬改定では、自治体から報酬を利用者の賃金に回すと、「生産活動収支」がマイナスだと判定され、報酬を減らすというルールに変更されたことにより、多くの事業者では自治体からの報酬が大幅に減少することとなりました。加えて、最低賃金が上昇していること、社会保険の106万円の壁の撤廃が閣議決定されたことを踏まえると、今後は更に採算ラインを押し上げられることが想定され、各事業所は大変厳しい環境に置かれています。
一方、利用者の賃金分を利用者の生産活動により生み出すという報酬改定の本来の趣旨は健全なものであります。課題は、国の掲げる趣旨と現場の実態の乖離にあります。また、本市としても、国が決めた報酬改定だからと傍観するわけにはいきません。いくら趣旨が正しかろうが、国が決めたことであろうが、現実的に立ちいかなくなって閉鎖している事業所が出てきているからです。当たり前ですが、事業所の閉鎖で一番あおりを食うのは利用者です。
そこで、本市が行うべきことは、官民問わず、障害者就労支援施設に対して、工賃向上に資する仕事の発注を増やしていくことだと考えます。
先ず、本市から障害者就労施設への発注の拡大についてです。本市は「障害者優先調達推進法」の規定に基づき、障害者就労施設からの物品の調達方針を策定して調達を行っています。
これまでから、保健福祉局から各局・区等へ障害者就労施設で取り扱っている役務や物品の情報を提供したり、また、施設からの直接調達に加えて仲介するNPO等が契約者となれる「共同受注窓口」を設定することで調達の推進を図ったりするなどの取組を進めてきました。
これらの取組みは、全国的にみても高い成果を挙げておりますが、一方で令和7年度の調達目標額は3億2,860万円で、過去5年を遡っても3億円台で増減を繰り返し、なかなか拡大ができておりません。
各局の現場では、既に発注できるものは発注しているという状況なのだと思いますが、DX化をはじめ業務フローを見直す中で、新たに発注できる業務はまだ生まれるのではないでしょうか。例えば、外部の目線を入れて業務フローや調達可能性を再度見直したり、調達実績を人事評価に反映させて職員の動機付けを行ったりするなど、更なる調達拡大の取組をご検討頂きたいと考えますが、いかがでしょうか?
次に、市内の民間事業者からの障害者就労施設への発注の促進についてです。こちらは、本市の共同受注窓口としても役割を担っている「特定非営利活動法人京都ほっとはあとセンター」や「はあと・フレンズ・ストア」が、販路の拡大や企業連携など、民間での発注促進の取組みを行っています。
これらの取組は、ECサイトのよる販路拡大をはじめ一定の成果がありますが、両事業とも多くの施設で月額1万円~2万円という低い工賃水準となっており、障害者就労施設全体としては十分機能しておりますが、冒頭に申し上げたA型事業所の存続という意味では課題が残ります。
また、個々の事業所への個別のアドバイスなどは行っていない状況ですので、事業所側の体制強化も余地があります。A型事業所で提供される役務や物品の質が、一般企業のそれと比べても遜色のないケースも多くありますが、潜在的に発注の可能性のある民間事業者に、その実態が上手に伝わっていないという課題もございます。
委託業務の範囲を、受発注双方の個々の企業への個別のアプローチにも広げていただくことで、民間での受発注を拡大できると考えますが、いかがでしょうか?また、現在ザイマックス関西社に委託して入居店舗の誘致を進めている西庁舎・北庁舎の1階のにぎわい施設には、「はあと・フレンズ・ストア」等の店舗の優先入居を検討されるのはいかがでしょうか?
加えて、民間事業者からの発注を促進するには、何かしらのインセンティブが必要です。本市が打てる手の一案として、公契約の入札時に、障害者就労施設への発注を計画に入れる場合は加点したり、障害者就労施設とのJVによる入札を推奨したりするなど、公共事業から派生的に発注が生まれる取組みを検討いただきたいと考えますがいかがでしょうか?
次に、障害者の直接雇用における超短時間就労についてです。令和6年4月から障害者雇用促進法の改正により、週20時間未満の超短時間労働者も障害者雇用率の算定にカウントできるようになりました。体調面で不安を抱える障害者にとっては、労働時間が就労のハードルになっていた方も多く、就労への門戸が広がりました。
本市でも、令和7年度は超短時間雇用促進モデル事業に410万円の予算を計上し、経済団体から推薦を受けた企業を支援して事例をつくり、横展開していくという計画になっています。こちらも、A型事業所と本質的な課題は類似しており、ネックとなっているのは求人の少なさです。
一方で昨今、同じく短時間労働のスキマバイトのマーケットシェアは急激に拡大し続けており、私はここにヒントがあると考えております。現在、協力いただいている東京大学先端科学技術研究センターに加えて、スキマバイトのノウハウをもつ民間の仲介事業者にも協力いただき、どのような求人が超短時間就労と相性が良いのか等の知見を広げるとともに求人開拓にも協力してもらうことが効果的と考えますがいかがでしょうか?市長の御所見を伺いします。