京都党市会議員団は,議第84号から議第86号まで京都市立京都工学院高等学校増築工事請負契約の締結について、賛成の態度を表明いたしますので会派を代表して、その理由を申し述べます。
京都党市会議員団では、本議案の賛否を検討するにあたり京都工学院高等学校の新設地へ視察に行ってまいりました。現地ではご担当者の方から、創設にあたっての基本コンセプトや教育概要をお聞かせいただき、京都のものづくりの新たな担い手を育てる高校として非常に期待を持ちました。また、「新設高校として刷新された印象となるよう、内外装改修、建具改修、塗装改修などの施設の全面的なリニューアル改修工事」の必要性を確かめるために、くまなく学校施設を視察いたしました。現地では、ところどころ老朽化が進んでいる箇所が見受けられ、特に体育館の天井からは雨漏りが起こっておりました。その体育館で大きな問題が生じておりましたのは、雨漏りの箇所が改修できない、またどこが原因で雨漏りをしているのかを特定できないなど施設の保守管理をする整備がほとんどされていなかったというところに問題が起因しております。したがいまして、今回予算をかけて大幅な改修をされるということですのでそのあたりの今後の保守管理しやすい導線の整備を行っていただきますことまず、お願い申し上げます。

さて、今回視察で見えてきた課題は3点ございます。まず1点目は必要以上のリニューアル改修工事のための予算の計上であります。冒頭で申し上げました通り、現地では老朽化が進んでいる箇所が見受けられ、建具やクロスの張替等は、しなければならない状態であります。そのため、外壁改修約1億5,550万8,000円、建具改修約5,290万円、内装改修約2億9,644万5,000円、塗装改修約2,413万6000円など計約5億円の全面改修工事について一定の必要性は認められます。

しかし、必要以上の工事になるのではないかと考えられるものも中にはございます。例えば、800人以上が収容できる大ホールについてでありますが、耐震面から天井を始め大幅な改修工事が必要であると伺っております。かつては吹奏楽のコンテスト会場として使用されていたくらい立派なホールでございますが、工学院高等学校の教育特性や予定されている部活動の内容を鑑みても以前ほどの音響設備を兼ね備えた天井にする必要性を感じられないため適正な判断を求めます。

2点目は新棟増設の必要性についてです。正門付近の大階段を解体撤去し、延床面積926平方メートル分のクリエイトキューブと呼ばれる地域開放型演習室と新たに400台分の駐輪スペースの増築、さらにプールを解体し、延床面積796平方メートル分の実習室とトレーニングルームの増築・整備が予定されております。しかし、現地を視察しますと広大な敷地の中に、大ホール1つ、体育館1つ、室内体育施設が2つ、大型エントランスホールなどがあり、もともと新設高校の予定生徒数の倍にのぼる1700人を収容していた教室、校舎内にもスペースが充分にございます。そのため、わざわざ新棟を増築する必要性が感じられません。しいて言えば、特別必要なのは屋外駐輪スペースの確保、バリアフリーのためのエレベーター1機の2つのみでないかと存じます。以上2点が現場から見えてきた答え、でございます。今後もさらにコスト削減の一考を求めます。

3点目は、伏見工業高校の夜間定時制の扱い方についてです。伏見工業高校の夜間定時制のみ合併をしないという計画になっておりますが、夜間定時制の特性上、確かに街中にある方が交通の便が良く通学しやすいため、残しておきたいという考え方も一定理解できます。ただ、夜間定時制を生徒が選択する理由において、日中に仕事を持っている生徒が夜間での学習を希望する傾向から、徐々に不登校を中心とする生徒の選択肢として、背景が変わりつつある中で、今後夜間定時制の通学者数は減少の一途を辿ると考えられます。そのことを鑑みると、わざわざ少人数で伏見工業高校を現在の場所に夜間定時制だけを残す必要性は感じられません。また、施設等の施設工具や重機なども二か所で実施していくのではなく一か所で集中してより良い教育環境の中で教育を進めていった方が高い教育効果が得られるため、できるだけ早期の伏見工業高校の定時制の統合も視野に入れてご検討いただきたきたいと存じます。

最後になりますが、今回は工事契約の為、今後取り組まれる際には特別のご考慮をいただいた上で、引き続きコスト削減を重ねてお願い申し上げます。本件についてはいくつかの課題が残っておりますがおおむねその取組は評価できます。学校の開設と、より良い教育の充実を切に願うことから賛成いたします。今後これらのことを十分考慮され、今後の教育施設の在り方に生かしていただきますよう要望申し上げ、討論といたします。