ゴミは、クリーンセンターで燃やされ、焼却灰となります。この焼却灰、塵も積もれば山となるのですが、これを廃棄する場所が最終処分場です。京都市の場合、東部山間地域にある「エコランド音羽の杜」の1か所しかありません。平成12年から活用されていますが、令和4年現在で、残存容量が約50年分と言われています。つまり、今後50年活用すると、京都市はゴミを自前で最終処分まで出来なくなるということです。
これを延命させるための目玉として計画されたのが、焼却灰を溶かす溶融炉施設の建設です。焼却灰を更に溶かすことで、容量を小さくするための施設でした。しかし、技術的に実現ができないということで、委託先と裁判にまでなりましたが、数年前に計画は頓挫してしまいました。
そこで、最終処分場の延命のため、煤塵の発生削減や焼却灰のセメント化、可燃ごみからの鉄類の回収など様々な取組みをしているわけですが、これらは合計しても半年程度の延命にしかならないという状況です。今、現実的に、京都市が取れる手段は、ゴミの発生を減らすことと、大阪湾のフェニックスと呼ばれる埋立地の活用です。
ゴミ減量は、直近は比較的順調に推移しています。市民の皆様が、リユース・リデュースや分別リサイクル、食品ロス削減など様々なご協力をして頂いているおかげです。現在、年間で約35万tのゴミがでていますが、2030年までに33万tにまで減量することできれば、6年間の延命ができます。SDGsの環境問題としてのゴミ減量が言われがちですが、最終処分場のキャパシティという意味でもゴミ減量は重要な取組みです。
大阪湾のフェニックスは、大阪湾の海面埋め立てによりゴミの最終処分を行うもので、近畿各県の自治体が共同で開発し、利用しています。令和4年時点で、京都市の割当分で約7年分の容量があります。現在、利用しているのが第2期計画で、今後スタートする第3期以降も活用できることがほぼ確実の状況ではあります。
フェニックスのおかげもあり、当面はこれを利用することで、京都市のエコランド音羽の杜は一定延命できる展望は見えていますが、1t当たり1万円強のコストが掛かることも忘れてはいけません。
それ以外にも、多くの自治体がフェニックス依存により様々な対策が先送りになっていることや大阪湾に有害物質が流出して水質汚濁に繋がっていることなど問題も多く、監督官庁の環境省は否定的な見解を示してます。将来、どこかのタイミングでフェニックスが活用できなくなる可能性も考えておかなければなりません。