中京区選出・地域政党京都党の大津裕太です。維新・京都・国民市会議員団を代表して中野洋一議員、久保田正紀議員、北川みき議員、河村諒議員とともに、市政一般に対して、とりわけ小中学生の不登校に関して、いくつかの視点から質問致します。

 私は、約2年前の令和4年11月市会の代表質問においても、不登校をテーマに代表質問を行いました。その後、代表質問をご覧になった保護者・関係者や私の市政報告のチラシをご覧になった保護者・関係者から様々な反響をいただき、改めて、不登校の悩みを抱える子ども達・保護者がたくさん居られることを実感するとともに、折あるごとにご状況やご意見を伺う機会を得ることができました。

当時、既に不登校の児童生徒は全国的に前年度比で毎年20%を超えるようなスピードで増加をしておりましたが、その後も同様に増え続けております。京都市の増加ペースはもう少し緩やかではあるものの、大幅な増加傾向であることは変わりません。

 本市の教育委員会は、これまでから不登校への対応として様々な取組みを行っており、不登校特例校の設置は全国的にも早く、平成16年に洛風中学校、平成19年に洛友中学校を創設。児童や保護者が相談できる「こども相談センターパトナ」や不登校の児童生徒の活動の場として、「在籍している学校と長い廊下でつながった別室」という位置づけの「ふれあいの杜」も早くから設置。各学校には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置するなどの先進的な取組みを進めて参りました。

 また、本年度の予算でも、教室に入りづらい児童が安心して過ごすための「校内サポートルーム」の整備や、ふれあいの杜の拡充、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの増員が実施されています。直近では、京都府市の協調で、不登校傾向のある生徒の高校入試でネックになっていた内申書への欠席日数の記載も来年度入試から削除することが決まり、多くの保護者・関係者から喜びの声をお聞きしております。

 本市の教育委員会としても、不登校という大きな課題に対し向き合っている中ではありますが、この間、不登校の生徒が通う、フリースクールや居場所の関係者、そこに通う生徒の保護者と意見交換をする中で、改めて本市に対応を求めていきたいことを質問して参ります。

<こども相談センターパトナの窓口対応>

 1つ目は、「こども相談センターパトナ」での窓口対応に関してです。今年の予算委員会の局別質疑でも取り上げましたが、多くの保護者から聞こえてくるのは、パトナの相談窓口での対応への厳しい声です。

 具体的には、「学校復帰を前提とした相談でなければ応じてもらえなかった」「相談に行った母親に対して、父親も同じ意見なのかとしつこく聞かれて、父親も同じでなければ家庭の意見ではないと話を聞いてもらえなかった」「通り一辺倒の話ばかりで専門性を全く感じなかった」「パトナより民間の支援の方が熱心で有益」などで、これらは私が実際に聞いた声の一部です。

 中には、子どもが不登校になり、精神的にしんどい中、相談窓口での心無い対応に、保護者がうつ病などの疾患になったとの声もありました。不安で追い詰められている保護者を更に追い詰めるような対応は看過できるものではありません。

 過日の委員会では、現場でしっかり対応しているという趣旨の答弁がありましたが、私が実際に利用者から聞く声との乖離があります。利用者アンケートを取る等、オープンに状況・課題を把握した上で早急に改善すべきだと考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 また、「民間のフリースクールや居場所の情報を幅広く求めても教えてもらえなかった」という声も大変多く聞きます。

 公的施設として、質が担保できているかわからない民間施設を案内や紹介できないという側面はわかりますが、保護者は案内を受けてご自身で確認に行き、ご自身で判断して、子どもの環境に合う支援を選びます。保護者や子どもをもっと信頼した対応をすべきだと考えますが、こちらも併せてご見解をお聞かせ下さい。

<不登校児童を抱える家庭への経済的支援>

 次に、不登校の子どもを抱える家庭への経済的支援についてです。文部科学省の調査では、フリースクールの学費は、平均月3万3000円となっています。登校頻度が高いともう少し高額になりますし、通学に掛かる交通費も掛かります。また、これらの支出の増加だけでなく、保護者が子どもへの対応などで働き方を変えるなどの理由で収入が減るご家庭もあります。

 前回の代表質問でも、不登校児童を抱える家庭への補助金を実施している東京都や大阪市、草津市などの他都市事例を挙げて、本市でも検討すべきと提案をしましたが、その後、全国的に補助金による経済支援を実施する自治体が増えております。京都府下では亀岡市が昨年度から実施しています。また、フリースクールへの補助金という形では、札幌市や千葉市などの政令指定都市でも実施されています。

 小中学校は義務教育であり、学校に通えなくても教育機会を確保することは「教育機会確保法」でも求められております。家庭の経済的な理由で、学校以外の教育機会が奪われることはできる限り減らしていく努力が必要です。

 また、JR二条駅前にあるフリースクールでは40名前後の子どもが通う中で、この春には約20名の子ども達が学校復帰をされたと聞いています。学校復帰へのステップとしても効果がある中で、不登校脱却の機会が家庭の経済的理由で失われることも避けなければなりません。

 本市は引き続き、財政状況が厳しい中ですが、不登校でかつフリースクールや居場所を利用する児童生徒の絶対数はそこまで多くないことから、財源的にも負担は限定的です。

 改めて、本市でも不登校児童を抱える家庭への経済的支援を検討すべきだと考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

<不登校になる前の学校現場での予防>

 最後に、不登校になる前の学校現場での予防についてです。2年前の代表質問では、学校の教員が回答した調査と不登校児童本人が回答した調査で不登校になった要因に大きな乖離があることを指摘致しました。

 具体的には、教員が回答をしている調査では、不登校になった要因として、「教員との関係」「いじめ」「部活動」「決まりや校則」などの学校生活に関連する項目の要因が極めて低い中、不登校児童本人が回答している調査では全ての同じ項目が高い結果となっており、学校現場で適切に要因を把握できていない、もしくは、回答の段階でバイアスがかかっているのではないかというものでした。

 これに対して、教育委員会の答弁では、「教員の子供理解の力を更に向上させるべきことを示唆するもの」と認識を示されました。

 そんな中、今年の3月に、文部科学省の委託事業として、公益財団法人子どもの発達科学研究所が行った「不登校の要因分析に関する調査研究」の結果が公表されました。

 この調査では、不登校の生徒と不登校でない生徒の両方にアンケート調査を行い、回答の差異から分析を行う比較調査が行われています。

 その結果、不登校になったきっかけ要因として、「仲の良い友達がいない」「先生と合わなかった」「先生から厳しく怒られた、体罰があった」「宿題ができない」「制服・給食・行事等の学校の決まりごと」といった項目で、不登校の生徒と不登校でない生徒で回答に大きく差異が出ております。

 この調査結果を踏まえ、公益財団法人子どもの発達科学研究所は、支援の方向性として「画一的な行動を求められる決まりに対する不適応への対応」「教師の態度や指導の仕方の改善」「宿題の在り方の見直し」等を挙げています。

 学校現場でも、これらを踏まえた対応は随時されていることと思いますが、結果として不登校の子ども達が増え続けるという厳しい状況にあります。

 既に様々な取り組みを行っている上で、更なる改善をしていく必要があると思いますが、本市としての受け止めと今後実施すべき具体的な改善についてご見解をお聞かせ下さい。

 また、この調査では、不登校でない生徒との有意な差はないものの、「成績低下」「授業がわからない」と言った学業不振に関しては、不登校の生徒・不登校でない生徒の両方で不安を抱えていることがわかりました。

 現在、本市でもGIGAスクール構想が推進されておりますが、GIGAスクール構想の目的の1つとして、「一人ひとりの習熟度に合わせた授業の実現」が目指されており、これらの課題の解決に寄与するものだと考えます。

 私も2人の小学生の子どもを持つ保護者ですが、その目から見ても、GIGA端末の活用は一定進んでいますが、「一人ひとりの習熟度に合わせた授業の実現」が出来ているとは思えません。

 一人ひとりの習熟度に合わせた授業は、児童生徒や保護者が実感できるレベルで実現するのは、いつになるのか。また、そのために課題となっていること、その解消に向けて本市はどのような取り組みをしているのか、お答え下さい。

 全員制給食の議論でもありましたが、良い方向に改善していても仮に実現するまでに5年掛かるとなると、小学校高学年の子が中学校を卒業して施策の恩恵を受けられないということになります。子ども達にとって1年1年の学校生活は大変大きなインパクトがあります。この時間軸もしっかり踏まえて、早期に改善を実現していただくことを望みます。

 以上で私の代表質問を終わります。ご清聴いただき、誠にありがとうございました