2点目に、「新しい公共」の推進の取組みとして、ゲーミフィケーションを活用した住民参加について提言します。

 松井市長は、社会課題・地域課題の解決を行政だけでなく、市民・NPO・企業など多様な主体が共助の精神で行う「新しい公共」の推進を掲げておられます。過日の予算委員会での市長総括質疑でも議論致しました通り、私も総論として賛成の立場でありますが、各論では懸念もあります。

 1番の懸念は、市民参加の担い手として期待される町内会組織が加入者減少の一途であり、地域の各種団体も高齢化と成り手不足が深刻になっている点です。松井市長は、以前から番組小学校の創設を例に挙げながら、町衆の心意気やボランティア精神に期待する考えを発信されています。しかし、私も、地元自治連合会では、消防団や体育振興会、少年補導委員会などの各種団体で活動しておりますし、町内会長や市政協力委員も経験したことがあります。各種団体は、コロナ禍を経てここ数年で急激に縮小していることを肌で感じます

 共働き世帯や核家族世帯の増加など、抗えない社会情勢もあります。また、担い手が減少する中でボランティア精神に頼ることは、担い手への負担の集中による不公平感と更なる担い手の減少を生みます。DX化などの施策や災害時における人的つながりの重要性の再啓発などを通じて、町内会の加入率の回復や担い手の確保には引き続き取り組んでいただきたいと思いますが、改めて、ボランティア精神だけに頼る「新しい公共」は、現実的ではないのではないでしょうか。

 私は住民参加の動機こそ多様であって然るべきであると考えます。そこで、本日提案したいのが、ゲーミフィケーションを活用した住民参加の取組みです。ゲーミフィケーションとは、ゲームの持つ「ついやりたくなる仕掛け」をゲーム以外の分野でも活用し、参加者を増やしたり、参加者に行動を促したりするための手法です。

 日常生活の場面で言うと、例えば、「スタンプ目当てでラジオ体操に参加すると」「期間限定のキャンペーンについ応募したくなる」「食べ放題の店で元を取ろうとする」「何が当たるかわからないカプセルトイにワクワクする」「SNSで『いいね!』がつくと嬉しく感じる」などです。何れも、「ついやりたくなる仕掛け」です。

 ビジネスの分野では既に多くの応用がされていますが、行政分野でもいくつかの先進事例がありますのでご紹介します。

 1つ目は、「投票式吸い殻入れ」です。イギリス発で世界に広がり、日本では渋谷のセンター街に設置されました。吸い殻入れにアンケートの質問が書かれており、2択ある回答のどちらかに吸い殻を捨てることでアンケートに参加できます。吸い殻入れは透明になっていて、煙草を吸う人も吸わない人も、アンケートの回答結果を楽しめる仕組みとなっており、吸い殻のポイ捨てが半分近く減るという成果を出しています。清掃のボランティアも大変ありがたいですが、そもそもゴミが減るように各自が協力してくださることも立派な市民参加です。

 2つ目は、行政の広報誌に「まちがい探し」を入れた山形県金山町の事例です。財政状況をはじめ、自治体の難解なテーマを楽しく考えるきっかけを作ることを目的に、表紙を現在の町と20年後の未来の街の様子を比較した「間違い探し」にしています。結果、その広報誌で地場の特産品を使った産業のアイデアを募ったところ多くの回答を得るという成果を出しています。本市でも、市民しんぶんは、興味を引く工夫がされていますが、これまで目を通してもらえてなかった層にアプローチし、市政に参加してもらうきっかけがつくれるのではないでしょうか。

 3つ目は、マンホール蓋のひびやさび等の調査を目的とした「マンホール聖戦」というイベントです。これは、参加者がオリジナルで開発されたスマホのアプリを使って、マンホールの蓋と周囲の写真をセットで登録していきます。まだ、登録されていないマンホール蓋を探すとポイントが得られるというゲームです。渋谷区では、700人が参加し、1万基ほどあるマンホール蓋が僅か3日足らずでコンプリートできたという成果を出しています。本市では、みっけ隊によるインフラの損傷の通報を市民からしてしていただいていますが、ゲーム性を加えることで更なる成果が期待できるのではないでしょうか。

 これらの取組は、多額の予算を要するものではなく、企画力と創意工夫で成果を高めることができます。また、普段なかなか行政に接点を持つことが少ない層の方にも興味を持ってもらえる可能性があり、多様な動機形成のうちの1つとして有効ですし、他の分野の行政課題や市民参加に関心をもってもらえるきっかけにも繋がります。

本市の取組みの中でも、例えば、楽しく防災について学べるカエルキャラバンのようにゲーム要素を取り入れた取組みも既にございます。「新しい公共」の推進に当たり、是非、各局の施策の中で、「ついやりたくなる」ゲーミフィケーションの視点を入れた取組みを幅広く行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか?市長の御所見をお伺いします。

 以上で私の代表質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。