報道等でご存じかと思いますが、令和7年1月に埼玉県八潮市で大規模な道路陥没事故が発生しました。不幸にもトラックを運転していた男性が陥没穴に転落するという悲劇に繋がりました。
陥没した道路の地下10mにある下水道管の破損がこの事故の原因です。下水から発生した硫化水素などの化学物質が下水管を破損させ、下水道管の水漏れによって地下に空洞が生まれたことが道路陥没を引き起こしました。また、各地の下水が集約される地点であったため、下水道管の口径が直径4.75mと非常に大規模だったことが、大規模な事故に繋がりました。
京都市では、この事故を受けて、口径が2m以上の下水道の緊急点検を行い、異常がないことを確認されています。しかし、今後、京都市で規模の大小はあったとしても、道路陥没が絶対に起きないという保証はなく(実際に下水でなく上水ですが、直近でも山科で水道管破裂による漏水が起こっています)、未然に防ぐ取り組みは必須です。
京都市も含め全国的に、高度経済成長期に一気に上下水道管が整備されたため、敷設から50年程度経過するものが大量にあります。これらは、すぐに全て更新するのは財政的にも人員的にも不可能なのが現実です。リスクの高い所をいかに先回りして優先的に更新をしていくか肝要です。
実は、同じ水道管でも、上水道と下水道で大きく異なります。上水道はその性質上、水圧が高くまた衛生状態を保つため、管路の中を確認することができませんが、その水圧ゆえに破損が起こると目に見えて漏水するため、すぐに発見できます。一方で、下水道は、管路の中を確認できるというメリットがありますが、破損しても気づかれずに静かに破損が拡大したり、八潮市のように地下に空洞がうまれたりします。
京都市は、上水道管は中を確認できないため、基本的には経過年数を基準に更新する方針ですが、下水道管は目視による劣化が確認できるため、経過年数よりも劣化度合を基準に更新を行っていく方針です。
しかし、八潮市の下水道管も2年前に目視した際は、5年以内に再点検が必要とされながらも更新基準に達してはいなかったとされています。つまり、京都市の下水道管においても目視等の点検の精度や頻度が担保できないといけません。
既に福岡市などの先進事例では、人口衛星やAIを使った漏水発見の取り組みが始まっています。こちらもまだまだ精度が高いとは言えませんが、少なくとも、これまでの目視との併用でダブルチェックを行うべきではないかと、委員会で提言致しました。