中京区選出の大津裕太でございます。地域政党京都党京都市会議員団を代表して、市政一般について質問致します。
最初に本市の予決算及び財政について質問致します。
<歳出規模拡大と市債残高の増加について>
本市は、周知の様に極めて厳しい財政状況にあります。本市の借金は、将来、本市に入ってくる税金の前借りであります。将来入ってくる税金というのは子ども世代・孫世代、その次の世代が支払う義務を負うものであり、つまりは、我々の世代は将来世代のお金を勝手に使い、その負担を一方的に押し付けている状況でございます。私たち京都党は、この不健全な現状と世代間の不公平さを解消しなければいけないという強い思いがあり、市民の皆様にも我慢する部分は我慢していただくことも含めて、将来世代に責任を持てる財政の健全化を訴えております。
本市の一般会計の決算では、平成22年度決算以降、黒字を維持・拡大され財政健全化が着実に推進されているとの説明がされております。しかし、その実態は民間企業、一般市民が持つ感覚の黒字とはかけ離れたものと言わざるを得ません。
先ず、本市の決算における黒字というのは、単式簿記が前提になっており、市債を収入として捉えております。これは、市債を発行して借入を増やせば増やすほど、収入が増え黒字になるということでございます。一般家庭の家計に置き換えれば、毎月の支出に対し給与が足りないから、銀行からお金を借りて支払い、手元に少しお金が残ったので黒字と言っているようなものです。これで、財政健全化が着実に推進されていると言えるのでしょうか。
そして、その市債残高に関しても、平成25年度決算では1兆2,406億円であったのに対し、平成26年度決算では1兆2,612億円と206億円も増加しております。また、平成27年度予算では、年度末の残高が1兆3018億円とさらに増加する見込みです。当局の説明では、増加しているのは臨時財政対策債であり、臨時財政対策債を除く市債残高は減少し続けているとなっており、実際に平成26年度も前年に比べ178億円減少しております。臨時財政対策債は地方交付税の代替であり、将来、国の負担で地方交付税の増額により全額補てんされ、返済する制度です。しかし、臨時財政対策債は、本市が起債者であり債務者です。制度上、返済にあたっては国が補てんすることになっておりますが、補てんの有無に関わらず、本市は返済義務を負わなければなりません。さらに、国自体が1000兆円を超える借金で財政が行き詰っており、元々平成13年度から平成15年度までの3カ年の臨時的な措置であったこの臨時財政対策債が延長に延長を重ね未だに出口が見えていない状況です。2013年には安倍内閣の地方公務員の臨時特例により、地方公務員の給与削減を強制するために地方交付税が強制的に削減されましたが、この措置の是非はともかく、国の意向によって地方交付税がその時々の状況に応じて削減されうるということを示しています。つまり、将来、返済の補てんが確実に行われるという保証は全くなく、補てんが行われなくなる可能性も十分あるわけでございます。従って、臨時財政特別債であれば問題ないというスタンスを脱しなければいけません。
また、当局の説明では、臨時財政対策債の発行額は、国が機械的に配分するもので本市で発行額をコントロールすることはできないとされておりますが、実際には、発行自体が任意のものであり、金額も上限まで発行するか否かは本市に委ねられております。他都市でも松阪市などは、上限金額まで発行しておりません。
臨時財政対策債の新規発行額は、平成25年度の473億円をピークに平成26年度決算で455億円、平成27年度予算では438億円と減少しております。これは、算定方法の変更が平成22年度から25年度までの4年間で段階的に変更される中で増加し続けてきた上限額が上げ止まったからだと認識しております。臨時財政対策債の残高の上昇を抑制するという意味では良いことです。
しかし、平成27年度予算では、一般会計の臨時財政対策債を除く新規市債発行額が541億円計上されており、平成26年度決算の415億円より126億円増とかなり大きくなっております。当局は、借金が減ってる減ってると言い続けていますが、本年度の市債発行は126億円を増えているんです。これは、平成27年度予算の歳出合計金額が7504億円となっており、前年度決算比332億円、前年度予算比でも109億円の歳出増になっているにも関わらず、臨時財政対策債の新規発行の上限金額が頭打ちになったため、臨時財政対策債を除く新規市債発行額が再び上昇し始めたのではないでしょうか?
財政再建の推進には、歳出規模を減らしていかなければいけません。支出ありきで予算を組むのでなく、収入の範囲内で予算を組むという発想に抜本的に転換しなければいけないと考えますが、いかがでしょうか?臨時財政対策債を含む市債全体の残高を減らすためにどうしなければいけないと考えているか、また、臨時財政対策債の新規発行金額の上限が頭打ちになる中で、臨時財政対策債以外の市債の新規発行額が増加していく懸念がありますがどうお考えなのか、市長のご見解をお聞かせ下さい。
<基金の取り崩し及び貸付に関して>
続いて、本市の決算における黒字は、基金の取り崩しも単年度の収入と捉えております。平成26年度決算では、財政調整基金が15億減少していること及び特別な財源対策による公債償還基金の取り崩しが9億円発生しております。同年度の実質収支が21億円の黒字でありましたので、両基金からの収入合計24億円がなければ赤字だったのではないでしょうか?財政調整基金は、過年度の剰余金を財源に余裕がない年度に取り崩すものですので、基金の目的に沿ったものと言えます。しかし、平成26年度期末現在で残高が約5億円しかないことを考えると、次年度以降の収支に強い不安を感じます。
また、公債償還基金の取り崩しについては、取り崩し自体に大きな問題があるにも関わらず、すでに3年連続で取り崩す事態となっております。当局自体が、公債償還基金の取り崩しは禁じ手だと発言し認めているにも関わらず、毎年当たり前のように予算編成で計上されるようになりました。借金を増やすだけでなく、借金返済の原資まで使ってしまっているのです。禁じ手であろうが、一度行えば、なし崩し的に行う当局の姿勢は批難せざるを得ません。
そこで、お伺い致します。両基金からの収入がなかったら赤字だったのではないかという点と禁じ手の公債償還基金の取り崩しを毎年予算編成で当たり前のように計上していることに対してのご見解をお聞かせ下さい。
加えて、基金の一般会計への貸付についてお伺いします。市庁舎整備基金は、平成26年度末時点で114億円の貸付残高がございます。すでに、新庁舎の建設が開始されており、まさに当該基金の取り崩しをすべき時かと存じますが、114億円の貸付は返済して取り崩すということをせず、一般会計で一時に経費支出されると当局よりお聞きしました。京都市市庁舎整備基金条例の第4条に「市長は,財政上必要があると認めるときは,確実な繰戻しの方法,期間及び利率を定めて,基金に属する現金を歳入歳出現金に繰り替えて運用することができる。」、第6条に「基金は,事業の実施に必要な財源に充てる場合に限り,これを処分することができる。」と規定されております。基金から一般会計への貸付は、年度を跨いでの繰替運用ですが、そもそもはそれ自体が、適正な処理とは言い難いにも関わらず、繰戻しの期間も形式上定めているものの毎年度更新というやり方がされてきました。結果として、実際に取り崩さなければいけない段で、基金が底をついており、貸付の返済も行われないというのは、例えれば、学資保険を生活のために切り崩して、いざ子どもが大学に入学するときには底をついており、新たに借金をして入学金を払うようなものです。これは、条例の趣旨を大きく逸脱していないでしょうか?
このような、毎年更新のような騙し騙しな方法で最終的に借りたお金を返さないということが行われるのであれば、公債償還基金で287億円、市営住宅基金で30億円の同様の一般会計への貸付も返済されずに踏み倒すつもりなのではないでしょうか?そんな状況を私たちは見過ごすわけにはいきません。「確実な繰戻し期間」と定められていますが、いつ返済されるおつもりなのか、誠意ある、ご回答をお願い致します。
<新公会計制度への移行に伴う影響について>
また、本年の1月23日に、「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」の通知が総務省より出され、平成27年度から平成29年度までの3年間に、所謂「新公会計制度」への移行が要請されました。政令指定都市は、移行が義務化されておりますので、本市におきましても、新公会計制度への移行により、複式簿記及び発生主義会計の導入やICTを活用した固定資産台帳の整備が行われることとなります。従来の単式簿記・現金主義会計は、そもそも税務署が民間企業に対して、わかりにくく不正をしやすい会計制度であるから認めていない制度です。制度移行により税収などの収入と市債などの借入金が明確に区別されること、資産や負債、各年度のコストなどが正確に把握でき、事業の検証や評価が正確に行えることに加え、民間の企業会計に近づくことで市民の皆様にも理解しやすい財務諸表になることが期待できます。これは、財政健全化に向けての前進であり、納税者へのアカウンタビリティの向上でありますから、京都党としましても強く賛同するところであります。
一方で、9月市会で議案審議されている地方公営企業会計の制度改正では、制度改正に伴う特別損失が、水道・下水道で95.8億円、バス・地下鉄で78.3億円と大きな金額が計上されております。現金収支の伴う損失ではないため、新たな負担が生じるものではなく、経営の実態がかわるものではないという説明がございました。また、実態が財務諸表に反映されること自体は、良いことであります。しかし、過年度に発生していた赤字が制度改正に伴って計上され、財務内容が悪化したことには変わりありません。
一般会計及び特別会計においても、新公会計制度への移行による、収益や費用の計上基準の変更、資産や負債の評価基準の変更に伴い、同様の特別損失が発生することを懸念しております。そこで、質問致します。新公会計制度への移行に伴う特別損失の計上等の影響を、どの程度把握しており、どの程度の金額規模になると想定されているかを教えて下さい。また、単年度でも計算上の収支が悪化する可能性がありますが、その点も加えて教えて下さい。
続きまして、学童クラブ事業に関して質問致します。
<待機児童ゼロと市民の皆様のお声の乖離について>
人口減少社会において少子化対策と女性の社会進出支援は大変重要な課題であり、特に子育て世代への支援を行っていくことは優先順位の高い施策であると考えております。少子化により児童数が減少しているにも関わらず、女性の社会進出による共働き世帯の増加等により、昼間留守家庭児童は増え続け、平成21年の9,462人から平成26年は10,343人へと、この5年間でも約1割増加しており、今後も増加傾向が続くと見込まれ、学童クラブ事業の重要性が益々高まっております。そんな中でも、「京都市未来こどもプラン」では、一元化児童館の設置をすすめ、放課後ほっと広場を拡充するなどにより、待機児童ゼロを達成されたことに関しまして、当局のご努力の賜物だと考えております。また、本年度より「京都市未来子どもはぐくみプラン」が開始し、学童クラブ事業におきましても、「待機児童ゼロの継続」がうたわれ、更なる学童クラブの拡充を掲げられていることは、京都党としましても賛同するところであります。
しかし、一方で、市民の皆様からは、「学童クラブに入れなかった」「近隣に学童クラブがない」「抽選になり申込書をもらえなかった」などのお声を聞くことが少なくありません。先ず、数字上の待機児童ゼロと市民の皆様からのお声に乖離があることに関しまして、当局は、どのようなご見解をお持ちかお聞かせ下さい。
<学童クラブ拡充の計画について>
また、本年度より子ども子育て新制度により、利用児童の対象学年が小学校3年までから小学校6年生までに拡大致しました。また、利用児童数おおむね40人のクラス編成になり、そのクラスごとに2名の職員が配置されること、児童1人あたりのおおむね1.65m2以上の面積が確保されることなど、新基準が設けられることで、学童クラブの質の向上がされることは素晴らしいことであります。
対象学年の拡大は、学童クラブ事業登録児童数に大きな影響を与え、平成26年4月9,819人から平成27年の11,628人へと大きく増加致しました。昼間留守家庭児童の増加と相まって、今後も登録児童数は増加していくものと考えられます。
新基準で設けられた「児童1人あたりのおおむね1.65m2以上の面積が確保」に関しては、出席率で割り戻して計算されるなどの運用がされていることもあり、特に雨の日などは児童達が「すし詰め」状態である学童保育も多くあります。学童保育の質という観点から、出席率での割り戻し等をせずに、基準の面積が確保できることが望ましいと考えます。以上の理由から、待機児童ゼロの現状であっても学童クラブの早急な拡充が必要です。
「京都市未来子どもはぐくみプラン」では、一元化児童館が中学校区ごとなこともあり、保育の量が中学校区での算出となっております。しかし、学童クラブの性質上、特に小学校低学年の児童に関しては、適正な通所距離とすることが望ましく、小学校区に1か所以上学童保育の場を設置するべきであります。私の選出である中京区でも朱雀第一小学校区には学童クラブがございません。市内全体では20を超える小学校区で学童クラブがありません。また、御所南学区が良い例ですが、大型マンションが建設されることで、子どもの数は急激に増加し、見積もり数を大きく狂わせます。
「京都市未来子どもはぐくみプラン」では、「登録児童数や昼間留守家庭児童数の動向を見極めながら、必要に応じて新たな学童クラブ事業の実施場所の確保や放課後ほっと広場、地域学童クラブの設置により、提供体制の確保を図ります」となっていますが、以上を踏まえまして、小学校区ごとに正確な実入所数と入所希望者数を年次で算出し、その数に見合った学童クラブを設置する短期・中期・長期のそれぞれの計画を策定し、そのエリアごとに小学校の空き教室、公的施設、民間施設の活用を具体的に検討すること必要だと考えております。当局の学童クラブの拡充に関する現状の計画と、小学校区ごとの学童クラブの設置及び小学校区ごとの計画策定をすることに関しての所感をお聞かせいただきたいと思います。
以上で、質問を終わります。ご清聴、有難うございました。