週明けの9月24日より主に令和5年決算を審議する9月市会が始まります。9月市会という名前ですが、終わるのは11月6日の長丁場です。

令和5年度は、門川前市長の最終年度です。財政破綻の危機から始まった行財政改革計画の集中改革期間の最終年度でした。

決算の数字としては、赤字の補填であった公債償還基金の取崩し等の特別の財源対策からの脱却を果たし、88億円の黒字で着地しました。京都市の現在の財政状況としては、数年前の財政破綻の危機は脱却できたと言えます。

当時は、支出が収入を上回っており、毎年100億円以上の赤字を計上しており、このままだと数年で資金繰りがまわらなくなり財政破綻するという状況でした。

私は議員に初当選した2015年以来、一貫して「収入の範囲内で支出の予算を組まなければいけない」という、ごく当たり前のことを訴え続けてきたわけですが、財政破綻寸前という状況でお尻に火が付き、この当たり前のことがようやくできるようになった結果、赤字による出血が止まったわけです。

これ自体は、総論としては評価していますが、結果オーライというわけではありません。

1つは、過去負債の返済負担です。京都市としては、特別の財源対策として公債償還基金を取り崩した分の積戻しが必要な約470億円を過去負債と定義しておりますが、それ以外にも特例的な市債と呼ばれる赤字の補填のために発行した市債の返済をはじめ、臨時財政対策債の前借りなどの隠れ負債もあり、その何倍もの過去負債があります。

これらの返済負担は、年間100億円を超えるものであり、本来であれば、街の発展に資する投資や福祉に使うことができた原資を門川市政が先食いで使い込んだことになります。まさにツケの先送りのツケを今払わされているわけです。

もう1つは、収支の改善に大きく寄与したのは、各種公共サービスの値上げやサービスカットによる市民負担であった点です。

財政破綻寸前という緊急事態でしたので、やむを得ない点はありましたが、本来の改革とは、コストを下げながらもサービスを向上させるような取り組みです。

財政破綻寸前のギリギリから取り組むのでなく、もっと前から改革に向き合っていれば、もっとソフトランディングできましたし、本来の改革により市民負担に頼らざるを得ないやり方は避けられました。

この市民負担増も、まさにツケの先送りのツケなのです。

とは言え、財政が一定の安定を取り戻したことも事実です。今後、社会保障費は増え続けるのは避けられず、また、過去負債の返済という制約がある中でも、新たな施策を行う財源も必要です。

今、まさに本来の改革に腰を据えて取り組むべき時です。遅れているDX化の推進や、官民共創やSIB、PFSなどの民間の知恵や資金を活用する新しい行政手法の確立、所有からシェアリングエコノミーへの転換、ゲーミフィケーションの活用など、チャレンジすべき改革はたくさんあります。

松井市長は、改革とは何を目指し、どのような方向性で考えているのか、マニフェストで掲げた政策の実現への道のりと財源確保のために、具体的にどのような改革を行っていく考えなのか、喧々諤々の議論をして参りたいと思います。