地方自治体には、財政調整基金という基金があります。これは、災害時や急な経済危機などで財源が不足する際に柔軟な対応ができるように、自治体が財源に余裕がある時に積み立てておくものです。地方財政法で、各年度で余った剰余金の半額以上を積み立てることが決められております。

地方自治体には、財政調整基金という基金があります。これは、災害時や急な経済危機などで財源が不足する際に柔軟な対応ができるように、自治体が財源に余裕がある時に積み立てておくものです。地方財政法で、各年度で余った剰余金の半額以上を積み立てることが決められております。

京都市の財政調整基金の年度末残高は、20億円ほどまで積み立てては、取り崩してゼロ円に逆戻りということを繰り返しています。

記憶に新しいところでは、コロナ禍の初期に、京都市の財政調整基金がゼロ円だったため、機動的に独自の支援策を行うことができず、国の支援を待たざるを得ませんでした。また、事業者の休業要請支援支給金では、隣接の大阪府や兵庫県が法人100万円・個人事業主50万円を支給している中、京都市は法人20万円・個人事業10万円と大変少ない金額しか支給できませんでした。

財政調整基金の積み立ては法律で決まっているので、ある程度、積み立てるのですが、問題はそれを平時の補正予算の財源としてすぐに使ってしまうところです。

さて、京都市の財政調整基金条例を確認すると下記の記載がありました。

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(基金の管理及び処分等)

第5条 基金から生ずる収益の処理及び基金の管理並びに基金の処分については,法令に定める場合を除くほか,必要な事項は,市長が定める。

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つまりは、市長が決めれば、どんな用途に使ってもよいということが条例で定められているわけです。そういう意味では、この基金の運用は条例通りで問題ないわけです。

しかし、政令指定都市の他都市に目を向けてみると、見え方が変わります。

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(処 分)

第5条 基金は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、これを処分することができる。

(1)経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において、当該不足額を埋めるための財源に充てるとき

(2)災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収を埋めるための財源に充てるとき

(3)緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき

(4)長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき

(5)償還期限を繰り上げて行う大阪市公債の償還の財源に充てるとき

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これは、同じ関西の大阪市の財政調整基金条例の文言です。神戸市でも横浜市でも福岡市でも、政令市であれば、ほとんどがこれと同じような記載です。

他都市の文言をみれば伝わるかと思いますが、地震等の災害やリーマンショックのような経済危機、借金の繰上げ返済などに用途を限定し、突発的な財政難に備えています。

京都市の行財政局は、京都市は財政が厳しいから柔軟に運用できるルールにしているという回答でした。そうではないでしょう。ルールが甘いから財政が厳しくなってしまったのだと反省しなければいけません。