中京区選出の大津裕太です。維新京都国民市会議員団を代表して、令和8年度予算に関連して、とりわけ、京都市DX推進におけるローカル5Gの活用による産業振興、まちづくりについて質疑致します。

 令和4年1月に策定された「京都市DX推進のための基本方針」では、市民サービスの維持・向上と行政の効率化・高度化、社会課題の解決、さらには新価値を創造し都市の成長に繋げていくため、あらゆる分野において、職員一人一人が推進者となり、「行政サービスのDX」と「内部事務のDX」、また、くらしや産業など「地域・社会のDX」を推進すると基本方針が掲げられております。

 その中でも、「地域・社会のDX」では、京都ならではの強みをいかした企業・大学など多様な主体との連携の下、デジタルの力で、社会課題の解決や新たな価値創造を図るなど、都市に魅力と活力をもたらすデジタル創造都市を目指すとされており、ローカル5Gについても、活用を積極的に検討・実施する旨が記載されています。

 さて、ローカル5Gとは、自治体や企業がエリア限定で構築する「高速大容量・低遅延・確実・高セキュリティ」な通信網のことを言います。

 5Gというと携帯電話で使われているものをイメージするかと思いますが、あちらは、キャリア5Gと呼ばれるもので、広範囲をカバーすることには長けておりますが、電波が不安定なことや容量に限界があること、セキュリティ上の脆弱性などの欠点があります。

 ローカル5Gは、特定の場所で帯域を独占するため、他の電波の混雑に影響されないため、安定した高速・大容量・低遅延の通信が可能です。また、クローズドの通信環境のため外部からのアクセスができず、高いセキュリティを擁するという強みを持ちます。

 そのため、例えば、自動運転のようにリアルタイム性が求められ電波の遅延が許されない分野や、4Kや8Kの映像のような大容量のデータを配信する場合には、キャリア5Gでは対応できず、ローカル5Gが必要となります。

 総務省では、全国の自治体に対してローカル5Gを活用して地域課題の解決を行う事業の実証実験を推奨しており、補助金もつけながらローカル5Gの普及を推進しています。

 この背景には、人口減少社会における労働者不足や過疎地域の増加などの社会課題をテクノロジーの力を借りて解決していかなければいけないということに加え、DX推進による産業競争力の強化を目指していることがあります。

 ローカル5Gは、例えば、労働力不足には、自動運転やドローン、無人搬送機などの自動化への置き換えが一つの解決策です。過疎においては、オンデマンド交通による足の確保、遠隔医療による医療アクセスの確保、河川や急傾斜地の監視カメラやドローンによる災害時対応などに寄与することができます。

 また、産業振興においては、VRやエッジコンピューティングのような新ビジネスの創出、農業機械の自動走行・遠隔監視や圃場の高精細映像のAI解析による農業の高度化、AIやIoTを活用して製造を自動最適化したスマートファクトリーによる製造業の生産性の向上、VRを活用した観光の高付加価値化など様々な形での寄与が想定できます。

 一方でこれらの整備にはコストも掛かります。小規模で数千万単位、大規模なら数億円単位と言われています。高額の投資ですので投資対効果も考えなければなりません。地域活性による税収増、自動運転など省人化による人件費の削減やIoT活用など効率化による経費削減、高付加価値化による収益の向上など、持続可能な投資計画が必須です。

 加えて、国からの補助金、官民連携による民間資金の活用、インフラシェアリングによる負担の分散など投資額の抑制にも努めなければなりません。

 そこで、私が考える本市におけるローカル5Gの活用について2点の具体案を提言したいと思います。

■バスの自動運転実装に合わせた洛西地域でのローカル5Gの戦略的な活用

 1つ目は、バスの自動運転実装に合わせた洛西地域でのローカル5Gの戦略的な活用です。

 過日、松井市長より公表されましたが、洛西地域では、レベル4のバスの自動運転の実装に向けた取り組みを行うことが決まっています。既に、他都市でも、精華町や前橋市、仙台市、成田空港などでレベル4の自動運転の実証実験の事例がありますが、いずれもローカル5Gを活用した遠隔監視による自動運転を行っており、安全かつ効率的な自動運転の実施には、ローカル5Gの整備が欠かせません。

 せっかくローカル5Gの整備をするのであれば、戦略的に行い、バスの自動運転だけでなく、洛西地域の生活環境の改善や活性化に繋げていくことが望ましいと考えます。

 例えば、洛西地域はスーパーや百貨店の撤退で買い物環境に課題がありますが、日本でも一部出店が始まった無人スーパーの誘致による課題解決が考えられます。ウォークスルー型の無人スーパーは、レジを通らずに、商品を手に取って店舗を出るだけでAIカメラとセンサーで決済が完了しますので、買い物客の利便性が高いこともさることながら、店舗側の人件費の大幅な削減により、採算性の課題で撤退している小売店を再度誘致するインセンティブとなります。無人スーパーは、高解像度の複数のカメラ映像や棚の重量センサーのデータなどをリアルタイムに処理する必要があり、既に横浜市などで展開されているダイエーの無人店舗でもローカル5Gが活用されています。

 他にも、介護領域ではAI顔認証による高齢者施設での見守りへの活用により職員の負担を軽減したり、教育分野では地元の小中学校をGIGAスクール構想のモデル校にして最先端教育の提供をしたりするなど幅広い分野で可能性があります。

 また、令和8年度予算では、洛西ニュータウン<「すまい」みらい構想>の策定のための予算として1000万円の予算が計上されており、公有地と住宅地の計画的な再編のための調査を行うとしています。これらの計画により生まれ得る未利用地や市立芸大跡地には、洛西地域の人口増加やにぎわい創出の起爆剤となるような教育機関や企業・工場、商業施設などの誘致が望まれますが、ローカル5G環境が整備されることを誘致のインセンティブとして積極的に活用すべきと考えます。

 スマートファクトリーや最先端の研究所などの製造業から、大規模なeスポーツ施設の整備のようなエンタメ領域まで幅広く可能性があるかと思います。

 何より、自動運転、無人スーパー、スマートスクールなどの整備を進め、洛西を「スマートシティ」としてリブランディングすることで、若者・子育て世代の流入に繋げることができるのではないでしょうか。「すまい」みらい構想の策定においても、是非検討いただきたいと思います。

 以上を踏まえまして、バスの自動運転の実装化に合わせた洛西地域でのローカル5Gの戦略的な活用をご検討いただきたいと考えますが、市長のご見解をお聞かせ下さい。

■KRPを核に市立病院・中央卸売市場へのローカル5Gの整備活用

 もう1つは、京都リサーチパークを核に、京都市立病院及び中央卸売市場におけるローカル5Gの活用です。

 リサーチパークと市立病院、中央卸売市場は、地理的に近接していることから、リサーチパークを中心にローカル5Gを設置すれば共同で利用することが狙えます。

 リサーチパークは研究開発企業やスタートアップ企業の集積拠点です。既に、これらの企業への支援として、実証実験の場を提供するラボとしての役割を担っていますが、ローカル5G環境のラボを整備することにより、検証や実証実験できる領域が広がり、より最先端の技術を活用したビジネスの創出やIT・デジタル人材の流入につながることが期待できます。

 また、リサーチパークの運営者である大阪ガスや地元金融機関をはじめ、多くの関係者と共同でプロジェクトを進めることで、民間の力も借り、整備費用の分散や様々なシナジー効果も期待できます。

 次に、リサーチパークからすぐ北西に位置する京都市立病院は、今市会の補正予算や来年度当初予算で、一般会計から多額の貸付を行うなど、現在大変厳しい経営状態です。コンサルティング会社を入れ、今後の在り方の検討と経営改善の取組がなされている真っ最中です。

 市立病院は経営改善に際して、京大病院や府立医大付属病院をはじめとした複数の大病院が併存する中、京都・乙訓医療圏における市立病院の役割を明確化する方向性ですが、将来的にはローカル5Gを活用した遠隔診療の拠点を目指すことで価値を発揮できないでしょうか。今後、人口減少とともに都市近郊でも医療へのアクセスの低下が社会課題となることが予想されます。既に、他都市では、長崎大学病院などでローカル5Gを活用した遠隔診療の実績があります。また、市立病院は、PET-CTやダヴィンチシステムやリニアックなど、遠隔診療との相性の良い医療機器が導入されていることから、基礎的な環境が整っていることもプラス要因です。遠隔診療により従来の来院患者以外の患者も対象にすることで収益向上が見込めるのであれば検討の余地があるかと思います。

 最後に、リサーチパークのすぐ東側に位置する中央卸売市場です。中央卸売市場でも、今後、労働者不足の影響がでてきます。金沢の中央卸売市場では先進的に取り組みが始まっていますが、集荷場と仕分けエリアなどの定型ルートを往復する定型搬送や市場内の離れた箇所同士の移動である長距離横持ちなど何度も人力で往復している搬送を、AGV無人搬送車や無人フォークリフトで自動化してドライバーや場内作業員の人手不足を補完しています。京都でも金沢の先例を参考に計画することで、物流の効率化と省人化が可能です。近い将来、必要に迫られるのではないでしょうか。

 また、パレットにタグやRFIDタグやIoTタグをつけるなどにより、在庫の紛失や滞留の削減、棚卸し工数の大幅削減につなげることも可能です。

 これらの卸売市場のスマート化は、生産性の向上だけでなく、安全性の向上や廃棄ロス削減などの環境面での寄与、更には、トレーサビリティの確立によるサービス水準の向上にもつなげることができます。

 以上を踏まえて、京都リサーチパーク、京都市立病院、京都市中央卸売市場でのローカル5Gの活用をご検討いただきたいと考えますが、市長のご見解をお聞かせください。

■その他の活用

 また、私が提案した2つの具体案以外でも、ローカル5Gの活用で既にご検討されていることや、将来的な展望、また民間独自での整備の促進について、お考えがあれば、併せてお聞かせ下さい。

 以上で、私の代表質疑を終わります。ご清聴ありがとうございました。