内閣府が取りまとめている高齢社会白書によると、2012年に認知症患者数が約460万人で高齢者人口の15%だったものが、2025年には5人に1人、20%(人数では700万人以上)が認知症になると推計されています。今後、多くの方が認知症で介護を必要とすることは避けられません。

認知症の予防と治療が効果を出せば、本人のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が向上することはもちろんのこと、ご家族を始めとした介護者の負担も大きく下がります。いわゆる「インフォーマルケアコスト(家族などのよる無償介護に掛かる時間を仕事に充てた場合の賃金)」や行政の「医療費」「介護費」の削減にも繋がります。

<認知症予防は歯周病予防から>

認知症の中でも約70%を占めるのが、アルツハイマー型認知症です。最近の研究で、歯周病の原因となる歯周病菌が、アルツハイマー型認知症に関わることが報告されており、実際に、歯周病患者は10倍も認知症になりやすことも明らかになっています。

30代以降の市民の皆様に、定期的歯科検診を受けて頂くことで、40代以降の歯周病患者を減少させることが、その後の認知症の予防につながります。京都市も行政として積極的に、定期的歯科検診の実施と啓蒙活動を進めていくことが必要です。

<認知症治療の新薬「レカネマブ」の積極的使用を見据えた体制作り>

ニュースでも取り沙汰されておりますが、今年に入って、新しいアルツハイマー型認知症の治療薬「レカネマブ」がアメリカで承認されました。日本でも今年中には、承認されることが予想されます。

「レカネマブ」は、アルツハイマー型認知症の原因物質を除去する効果が確認されており、これまでの対症療法的な薬とは違って、病気の原因とされる物質に直接働きかけることで、長期に渡って症状の進行を抑制することが期待できます

この新規治療薬を効果的に使用するためには、「認知症の早期診断」が肝要です。認知症の早期であれば、自立した社会生活を維持したまま、症状の進行を抑えられるからです。京都の地域企業である島津製作所が、少量の血液からアルツハイマー型認知症の診断を行える技術を開発してますので、その強みを生かし、京都市民が「認知症の早期診断」を受けられる体制を整えていくことが求められます。

京都を認知症予防・治療の先進都市にすべく、提案して参ります。