令和4年度予算は、財政破綻を回避すべく着手した行財政改革計画が本格的に盛り込まれたはじめての予算ですから、京都市が財政再建できるのかを占う試金石でした。自民党、公明党、民主市民フォーラム(立憲民主党・国民民主党)の3会派が賛成し、京都党に加えて、日本維新の会と共産党の3会派が反対しましたが、賛成多数で可決しました。

■反対理由①  結局、令和15年度までの中長期計画でも赤字から脱却できない!

行財政改革計画は、財政破綻を回避するためのものですが、その財政再建プランの出口となっている令和15年度の段階で、京都市は変わらず赤字のままであることが前提となっています。
京都市はこれまでも、赤字の穴埋めを「特別の財源対策」と呼ばれる禁じ手を繰り返してきました。「特別の財源対策」は、「取り崩してはいけない基金からの取崩し」と「本来発行すべきでない市債の発行」の2つに大別されます。

今回の財政破綻騒動は、「取り崩してはいけない基金」が枯渇してしまいそうだということが発端となっています。それもあって、基金をどう枯渇させないかというのが議論の主軸となっているのです。一方で、同じ赤字の穴埋めである「本来発行すべきでない市債の発行」に関しては、令和15年度時点でも依存し続けることが予算書に明記されています。これが「財政破綻の回避」ではなく「財政破綻の延命」に過ぎないと、以前から私が指摘し続けている点ですが、今回の予算時点でも改善されることはありませんでした。

実は、赤字の穴埋めである「特別の財源対策」からの脱却は、財政危機に陥ってから言い出したことではありません。門川市長は、2011年からスタートした京都市基本計画の「はばたけ未来へ!京プラン」で、当初は2016年には脱却するとしていました。これが、ズルズルと後ろ倒しとなったまま、2020年に「財政破綻するかもしれない」と言い出したわけです。その間、京都党はこのままでは近いうちに財政破綻するのは間違いないと指摘してきました。簡単な算数ができればわかる話です。

そして、満を持して、実施される行財政改革で、やはり赤字から脱却できないというのは看過できません。結局、直近の数年間、誤魔化せれば良いという姿勢が透けて見えます。

■反対理由②  様々な市民負担増の裏で、職員給与カットは予定の半分で終了!

今回の行財政改革では、敬老乗車証の見直し、保育園への補助金削減、学童保育料金の見直し、二条城や動物園をはじめとした各施設の入場料の改定、空き家税の創設など、市民の皆様に新たなご負担をお願いすることが決まりました。

一方で、京都市の職員人件費が、他の政令指定都市に比べ、100億円単位で過大だということが京都市の財政を圧迫する大きな原因の中、昨年、3年間で50億円の京都市職員カットが示されました。しかし、26億円のカットを終えた今回で事実上給与カットが終了することとなりました。

公務員の給与は、民間と違い景気の善し悪しやインフレ・デフレなどの経済環境を反映することができないため、人事院勧告という制度で、民間企業の給与水準の推移を参考に反映させます。今回、コロナ禍もあり、民間企業の給与水準が下がったこともあり、人事院勧告でも公務員給与の引き下げが勧告されました。京都市はこれにより下がった24億円の人件費を行財政改革の人件費カットに混ぜ込んだわけです。

市民の皆様には、新たな負担をお願いする一方、職員への負担は途中で有耶無耶にする姿勢は、到底、市民理解が得られるものではありません。