水道料金を将来的には値上げせざるを得ないのではないかという議論が全国的に行われています。それも、今後30年の間に1.6倍程度まで引き上げないと採算が取れないという試算が出ています。仮に水道料金を上げずに赤字経営を続ければ、税金で補てんすることになりますから、いずれにしても市民負担は免れません。

 第一に、人口減少と節水意識の高まりで、長期的な水道水の需要が低下することにあります。京都市でもこの20年で既に水道水の使用料が約2割も減少しています。京都市は人口が横ばいで節水と言ってもそんなに積極的な取組みがあるように感じませんが、実は、産業用機械も家電も性能が上がっており、自然と節水するようになっています。そのため、古い機械や家電が買い替えで新しくなるだけで、水需要は減り続けます。そして、今後は人口減の影響も避けられず、水需要の低下はほぼ確実です。水道事業の経費は、施設の維持管理費などの固定管理費が大部分を占めますので、水需要が減っても経費が減らず、結果として収入だけが減る形になります。

 そして、老朽化した配水管や下水道管の更新費用です。高度経済成長期に敷設された水道管が約50年経過し、順次更新をしていかなければなりません。平成30年時点で、配水管は27%、下水道管は15%しか更新が進んでおらず、今後多額の更新費用が掛かってきます。これも、安全に衛生的な水道水を提供するためには避けて通れません。

 京都市の水道事業は現時点では黒字を確保できておりますが、上記の通り、水需要の低下のよる収入減と老朽管の更新による支出増を考えると、今後は厳しい経営になると予想されます。水は、最も大切なインフラです。出来る限り安価に提供できるように、今後も様々な知恵を絞っていかなければいけません。