次に、本市の財政と行財政改革計画に関して質疑します。

令和4年度予算は、行財政改革計画の実効性を担保するための試金石として大変重要な予算編成です。その意味では、社会福祉関連経費をはじめとした経常経費も、公共工事などの投資的経費も定めた歳出上限の範囲内で抑えた上で、69億円の余剰を生み出せたことは大変評価しております。長らく、財政の問題を指摘し、何度も繰り返し提言しては、門川市長にそれは縮み志向だと否定されてきた京都党としては、なぜこれがもっと早くからできなかったのか、もっと早く取り組めば、ここまで市民生活に影響が出るような急激な市民サービスカットをしなくても済んだのではないか、という忸怩たる思いがあります。

また、進行中の令和3年度も、想定よりコロナ禍により税収への影響が少なかったことなどを背景に、過去に行った公債償還基金からの借入を187億円返済するなど、単発的なこととは言え、財政の改善が見られたことも好材料です。

しかし、これらの好材料をもとに、「財政危機克服の見通しがたった」という門川市長の発言はいささか楽観的過ぎ、また、市民への誤ったメッセージになりかねません。

門川市長もお忘れではないと思いますが、平成28年度から令和2年度までの京プラン第2ステージでは、実質の赤字である特別の財源対策を毎年概ね100億円に抑え、令和2年度には脱却するという計画を失敗しております。振り返れば、京プラン第2ステージ期間も、中期財政見通しの下方修正を続け、何度、計画失敗の可能性を指摘しても、後半年度で挽回するなどの根拠のない発言で誤魔化してきた経緯があります。見通しの甘さも、計画失敗の大きな要因だったにも関わらず、反省は活かせているのでしょうか。
令和4年度予算の特別の財源対策は、依然と117億円もの巨額を計上しており、前述の前プラン時に掲げていた概ね100億円を大きくオーバーしております。この間の行財政改革は、総論としては一定評価しておりますが、数字だけをみれば、コロナ禍前の水準に戻っただけと言えます。市長からすると、基金枯渇がすぐに起きる事態を脱却したと思っておられるかもしれませんが、それは最低限のことで、本市の収支バランスが回復する具体的道筋がついてはじめて「見通しがたった」と言えるのではないでしょうか。

この状態で「見通しがたった」などという楽観的な発言は、改革を先導するリーダーとしては、極めて不適切な発言です。「見通しが立った」ならこれ以上の市民サービスの削減は必要ないと受け取る市民の方が出てくるのは当然です。今後も様々な市民サービスの見直しをしていかなければいけないにも関わらず、何故「見通しがたった」のに更なる市民サービスの見直しがされるのだと不信感を与えかねません。ご自身の発言に関する認識を改めて市長にお伺いいたします。

また、財政危機克服の今後の見通しが示されました。この見通しによると、令和15年度頃までの歳出を令和3年度水準で維持し続けるという点と、都市の成長戦略による担税力強化による100億円の財源捻出が前提となっています。

歳出を横ばいで維持するという考え方は賛成ですし、大変良い方向性だと思います。しかし、一方で、社会福祉経費が増え続ける中で、歳出を横ばいにするためには、どの程度の歳出削減が必要なのかが示されておりません。これでは、本当にできるのか全く判断ができません。

そして、担税力強化による100億円の財源捻出も考え方は大賛成です。しかし、税収ベースで400億円もの増収は、コロナ禍前の過去10年の増収が約150億円だったことを考えると生半可なことではありません。9月市会でも指摘した通り、この金額の根拠は、財源不足額から逆算しただけと総合企画局が公式に答弁するお粗末なものです。人口問題でも指摘しましたが、人口が大きく減少し、特に現役世代がどんどん少なくなる社会背景の中で、本当達成できるのでしょうか。また、市長も常々言っておられるように、地方交付税は削減が続くと予想されますが、その点は一切触れられていません。

京プランの第2ステージで財政の建て直しに失敗した際に、門川市長に失敗の理由を質問したところ、増え続ける社会福祉経費と削減され続ける地方交付税をあげ、不測の事態だったという答弁でした。今回の計画も全く同じ轍を踏んでないでしょうか。前回の失敗の反省がどう活かされているか改めて説明を求めます。

また、歳出横ばいのために必要な歳出削減額と、地方交付税の削減などの歳入減をしっかり数字で記載した令和15年までの財政見通しをご提示いただくように求めます。いかがでしょうか。

以上で、私の代表質疑を終わります。ご清聴誠にありがとうございまし