京都市の令和7年度決算は、実質収支91億円。前年度の58億円から33億円増加した。過去負債も計画どおり35億円返済し、市債残高も5年連続で減少しました。数字だけを見れば、財政改善は着実に進んでいるように見えます。

 しかし、詳しく見ると、安心できる状況ではありません。

 実質収支91億円は年度末時点の収支であり、前年度からの変動額、いわゆる単年度収支は33億円です。

 その一方で、財政調整基金は減少。令和7年度末の残高は172億円だが、この中には退職手当調整分21億円が含まれます。これを除く通常分は151億円。令和6年度末は185億円だったので、財政調整基金は1年間で34億円減少しています。

 つまり、単年度収支は33億円の黒字だが、その分、財政調整基金が34億円減っています。結果的に、基金から一般会計に振り替えただけで、財政余力は増えていないということです。

 さらに、この91億円を、そのまま新たな政策に使える「余力」とみることもできません。京都市は令和8年度の財政需要として、過去負債返済25億円、給与改定49億円、市立病院の資金繰り支援31億円、計105億円を、今後追加で見込んでいます。91億円を充てても、単純計算では14億円足りません。

 加えて、令和8年度当初予算では財政調整基金を97億円活用しています。令和7年度末分172億円から差し引けば、73億円の水準となります。仮に上記の14億円分まで基金で補うことになれば、通常分の残高は59億円まで低下する計算です。これはあくまで単純試算だが、いずれにしても基金が急激に減少しているのは現実です。

 市税収入は過去最高となり、ふるさと納税も収支56億円を確保しています。それでも、人件費・扶助費の増加、物価高騰、市立病院への支援など、支出圧力は重いのです。

 「黒字」「市債減少」は重要な成果であり、評価すべきです。

 しかし、当面の財政需要に、基金の取崩しで対応しているというのが実態でもあります。京都市財政は危機的状況を脱し、改善を進めている途上にはありますが、決して余裕のある状態ではありません。