京都市の報告を聞いていると、観光客数は5000万人台、宿泊客数は過去最高を更新し1582万人、観光消費額も過去最高を更新し1兆3082億円と、市民生活との調和の課題はあるが、観光誘致自体は一見絶好調のように聞こえます。しかし、実は、日本人観光客の京都離れが止まらず、この3年間で日本人観光客の数は732万人も減少しています。結果、観光客全体の人数もピークアウトし減少に転じています。その最大の原因は、「京都に行っても混んでいて楽しめない」というイメージが定着してしまっていることにあります。実経済でも、「お漬物」や「和菓子」といった日本人が好んで買ってくれるお土産の売上にも顕著に影響が出始めています。
そう言われても、観光客が減っているようには感じないと思われる方が多いかと思います。外国人観光客は、何度も京都に来られる方は少数派ですので、「伏見稲荷」「金閣寺」「清水寺」「嵐山」といった超人気スポットに集中する傾向があります。日本人観光客は、これらの人気スポットにももちろん足を運びますが、市内の他のエリアや他の寺社仏閣を楽しむ方も多い傾向があります。外国人観光客が増え、日本人観光客が減ると、先述の超人気観光スポットと「京都駅周辺」「田の字地区」「祇園」などの都市部に観光客が集中し、それ以外の観光スポットは比較的閑散化します。事実、例えば、奥嵯峨や大原などの観光地は、以前より観光客が明らかに減少しています。全体の観光客が減っているのに、混雑が悪化しているように感じるのもこれが原因です。
京都市も、観光の分散化を掲げ、「時期」「時間」「場所」の分散化させる施策を打っております。しかし、月別の繁閑差が平成15年と比べると劇的に改善したなどと効果をアピールしているのですが、今、平成15年と比較しても意味がありません。「観光公害」とまで言われるようになり、分散化が喫緊の課題となったこの2~3年の施策の効果が出ているのかどうかが大事だからです。この点も議会で指摘をしましたが、行政というのは、良いことはアピールするのに、悪いところはなかなか認めません。現実的には、思う様な効果がでておらず、むしろ、より集中が悪化しているのが現状です。
混雑対策に引き続き最優先で取り組むとともに、定着してしまった「京都に行っても混んでいて楽しめない」というイメージが一部エリアであることもしっかりPRしていかなければなりません。