2月26日の本会議で、市立芸大移転の工事契約の議案が議決され、自民・公明・民主が賛成、共産・京都党・維新が反対をし、賛成多数で可決しました。
本会議の議決に際し、反対討論に登壇しましたので、以下、討論内容です。
地域政党京都党市会議員団は、議202号から204号市立芸術大学新築工事請負契約に関わる3件の議案には反対の態度を表明しておりますので、議員団を代表して討論致します。
本市は財政破綻を回避するため、わが会派も、財政的な見通しが定まるまで巨額の投資が必要な公共工事については、本芸大移転工事も含め、全て、凍結を求めているところですが、昨年の9月議会以来、全庁をあげて全ての歳入歳出を聖域なく見直すという市長の強い決意のもと、財政健全化の取り組みが始まりました。しかし、その中で市立芸大の移転だけは、他の事業の精査を行う前に別枠で早々に事業継続を決定されました。
本事業は、総事業費269億円と今後予定されている投資的経費の中でも特に巨額な上、国からの補助金もないため、大変大きな財政負担を伴います。財政破綻の可能性すらある財政健全化の取り組みの中で、これほどの巨額の工事を別枠で事業継続を決めるには、相応の説明が議会及び市民になされなければなりません。また、直近の公共工事では、当初計画から総工費がどんどん膨れ上がるケースが度々あり、市立芸大の整備も269億円で済むのか大変疑問です。
文化を基軸としたまちづくり、文化によって社会・経済を活性化などのコンセプトは理解できますが、そのプロセスは、芸大移転により交流人口が増え企業が流入し経済が活性化されるとの説明に終始し、それ以上の具体的なことは答弁がなく、実現可能性に強い疑義があります。
過去にも指摘しておりますが、市立芸大の関係者は約1,000人です。京都大学や同支社大学で約2万人、立命館大学や龍谷大学で約1万9,000人、京都産業大学で1万3,000人ほどの学生数であり、大学と言っても関係者数は1桁少なく、芸大移転自体による直接の交流人口の増加はあまり期待できません。
そうであれば、どのように交流人口を増やしていくのか、どの程度まで増えることを想定しているのか、どのような理由でどのような企業がどの程度流入してくるのか、そのための仕掛けは何か、経済効果はどの程度か、税収にはどの程度寄与するか、こういった情報が議論には不可欠ですが、具体的なことは委員会でも答弁がありませんでした。芸大移転に関しては、平成29年には既に財源がないということを行財政局も答弁しており、コロナ禍の影響で突然、財源をどうするかについて検討が必要になったわけではありません。移転が必要な根拠や経済効果を検討する時間は十分にあったにも関わらず、説明責任が果たされておりません。また、経済効果に関する資料は補正予算の審議中に提出すると答弁がありましたが、議決には間に合わない等、正確な判断ができません。
現在の京都市の財政破綻の危険がある中、またコロナ禍で様々な対策や支援が求められる中、このような曖昧な事業計画に対して、別枠で巨額の投資をする判断はとてもできる状態ではないため、反対します。
以上が芸術大学新築請負工事契約案に対する反対討論です。ご清聴ありがとうございました。