地域政党京都党・日本維新の会市会議員団は、報第1号令和3年度一般会計歳入歳出決算他15件の決算議案を認定するとの態度表明をしておりますので、会派を代表して討論致します。
令和3度年は、断続的に緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が続くコロナ禍の中、感染拡大防止と市民・事業者の経済支援をはじめコロナ対策に奔走し、また、財政危機を回避すべく行財政改革計画及び都市の成長戦略の議論を進めた年度でした。
都市の成長戦略が議論されたことで、現役世代の人口増に向けた都市計画の見直しやスタートアップ支援をはじめとした産業政策の強化などに繋がっており、市民が豊かになるための各施策が進み始めました。加えて、文化振興や脱炭素など本市が取り組むべき各施策も新たなチャレンジが始まりました。各論では、優先順位や手法の観点で賛否もありますが、総体としては共鳴できる部分が多くあります。
コロナ対策では、ウイルスが弱毒化した反面、感染力が爆発的に強くなり、特に年度末には、学級閉鎖や保育園・幼稚園の臨時休園が相次ぎ、家庭も職場も大変厳しい状況の中、保健所も医療現場もパンク状態となり、連絡も支援も大変遅れたため、市民に不安と不満を残してしまう結果となりました。保健所も医療現場も、現場では寝食を惜しんで奮闘して下さっており、国の対応が後手後手であったことやウイルスの変異は事前に想定しにくいこともあり、本市の責任だけとは言えませんが、反省すべき点もあったと感じます。現在も感染者数が谷から山へと移行しつつあり、対応をしっかり準備いただくようお願い致します。
財政面での令和3年度決算は、コロナ禍からの税収の回復が想定より好調で、なおかつ国からの地方交付税をはじめとした財源が臨時的に多く入ったことや行財政改革が一定進んだことで、予算時点より特別の財源対策を圧縮するとともに、過去の公債償還基金からの借入を返済できたことは大変評価しております。また、その結果、当初危惧されていた数年内の公債償還基金の枯渇という事態が延命できたことは、素直に喜ばしいことです。
一方で、今回の決算でも特別の財源対策を89億円も行い、公債償還基金が新たに取り崩されている状況は変わらず、令和4年度以降は臨時的な歳入も期待できないことを考えると決して楽観視できるものではなく、未だ財政破綻の危機を回避したというよりは延命している状態だという自覚を持たなければなりません。
市長総括質疑でも指摘しましたが、市長の発信により、市民には「突然財政破綻しそうになり、わずか2年で危機が去った」という極端な情報が伝わっており、不信感と混乱を呼んでいます。随分前から財政破綻に着実に向かっていたが改革が遅れ、コロナ禍で財政危機が表面化し改革に着手しているが、現在も道半ばというのが実態です。様々な値上げを含め多くの市民負担をお願いしている中でのことですので、慎重かつ的確な情報発信を心掛けて頂きたく存じます。
また、この間、公債償還基金の残高の推移を主な指標として説明がなされ、基金残高が計画より上振れをしていることを公表することで、過大に財政が回復しているように伝わっているように感じます。1つは、そもそも市債残高が増加し、積み立てをしなければいけない基金残高自体が増加しており、取崩しがなくなっているわけではないにも関わらず、基金残高が増加するからです。もう1つは、基金残高の推移は、墜落期に最後に確認すべき指標であり、これが上振れしたからと言って、財政健全化しているかどうかとは完全にリンクするものではないからです。
幸いにも目の前の基金枯渇は延命できたわけですから、水平期を目指し、一般財源ベースでの収支均衡に向けてどこまで到達しているのかという視点で改革を進めるとともに広報する方が真実が伝わります。一般財源ベースでの中期財政見通しを早急に策定し、いつ、特別の財源対策から脱却でき、収支均衡に至るのかをお示し頂くようお願いいたします。
最後に、財政調整基金に関してです。市長総括質疑では、緊急時には国からの支援や災害用の市債発行があるため、財政調整基金の積立は少額で良いとの答弁がありました。コロナ禍の初期の緊急事態宣言で、市民や事業者が不安のどん底にいる時に、他都市が機動的な支援策を打ち出している中、本市は財政調整基金が枯渇していたが故に、国からの支援を待っての対策しかできなかったことは、素直に反省すべきことであり、年度末での財源の帳尻が合うことが重要なのではなく、機動的に自治体が判断し行動するために必要であることを改めて指摘しておきます。
以上で討論を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。