本庁舎の北側、押小路通りに新庁舎が建設される予定で、すでに更地にするなどの工事が進んでいます。
以前に、京都新聞などでもニュースになりましたが、2014年に公表された当初計画で247億円だった総工費が、わずか1年後の2015年には301億円まで跳ね上がりました。54億円で当初計画の20%アップです。人件費や材料費の値上がりに加え、3階建を4階建に変更したことが主な原因です。
先ず、総工費301億円や増額になった54億円という金額が京都市にとってどの程度のインパクトがあるかです。京都市の単年度の黒字が毎年約1億円(この数字も誤魔化しに誤魔化しを重ねてですが)ですから、301億円や54億円のインパクトはかなり大きなものです。四条通りの歩道拡幅の総事業費が29億円でしたから、それと比べても大きさがわかります。総工費がこれ以上増えないかというのが心配の1点目です。しかし、本題はそこではありません。
(2016年9月6日追記:更に19億円増額になり、総工費320億円となりました)
300億円規模の大きな工事でありますし、市庁舎の建設などそう毎度毎度発生するものでもありませんので、京都市は以前よりこの工事に向けて基金をつくって貯金をしてきたのです。その積立金額は118億円。3分の1程度は貯金で賄えるという計算です。
問題はここからです。この基金は、市庁舎整備基金という名前で、当たり前ですが、市庁舎整備にしか使えないと条例で決められています。市庁舎の工事はこれからにも関わらず、118億円あるはずの積立が、なんと4億円しか残っていないのです。
さて、114億円はどこに消えたのでしょうか?
答えは、既に別の用途に使ってしまったのです。条例で定められているのに、何故かこんなことになっているんです。
事実関係は、こうです。
数年前は、市庁舎整備までに数年間の時間があったわけです。すぐに使うわけではない。毎年の予算が足りないから、すぐに使うわけではない基金をちょっと借りようということになったわけです。そうやって、数年かけて借りた金額の合計が114億円。足りないから借りてたのに、返す余裕などありません。
結果、そのまま放置されて、返さないことにしましたということになったわけです。貸して返せなくなっただけと当局は言いますが、完全に流用です。条例上もかなり黒に近いグレーと言えます。
さて、積立は4億円しかないわけですから、ほぼ300億円全額をこれから数年で用意するわけです。ツケの先送りが現実のツケとなったと言えるでしょう。
私たちは、いつも収入の範囲で支出するべきだという当たり前のことを言っています。
行政のように先に支払いを決めて、足りなければ借金したり、こうやって取り崩してはいけないところから取り崩すなんてことをしていたら、辻褄が合わなくなるという良い教訓です。