京都市は、H28年4月1日時点での保育園の待機児童がゼロであった旨を公表しました。これで、H26年以降3年連続で待機児童ゼロが達成されました。

少子化で子どもの数自体は減っていますが、共働き世帯は増え続け、保育園の需要は増え続けています。京都市でも、保育所等利用児童数は、H25年28,779人、H26年29,327人、H27年29,709人、H28年30,444人とまさに右肩上がりで増え続けています。

保育園不足は、都市部では全国的な問題で、国会でも保育士の給与をあげて保育士の確保をしないとダメだという議論が盛んに行われています。京都市は、以前から税金を投入して保育士の処遇に対応しており、全国平均では309万円の年収のところ436万円と約1.4倍の給与水準を確保しております。また、小規模保育園の整備や認定こども園の整備、既存の保育園の増改築など様々な方法でハードの整備も重ねております。その結果、政令市では数少ない待機児童ゼロを達成し続けています。

これから京都市の保育園の課題を書いて参りますが、京都市の保育園に関する政策は、全国でもかなり先進で頑張っていることは先に申しておきたい思います。

[課題1]年度途中の待機児童の存在

待機児童ゼロというのは、4月1日にカウントされます。以後、3月31日までの年度の途中で入園を希望して、入園できていない児童はいますが、これは待機児童にカウントされないわけです。直近での数字で言うと、H26年10月1日時点で95人、H27年10月1日時点で83人です。保育所の需要の伸びとイタチごっこのような状態ですが、保育園のキャパの総量がまだ足りていないということになります。この点に関しては、引き続き、現在行っている施策の推進が重要になってきます。

[課題2]増える「隠れ待機児童」の存在

待機児童ゼロというのは、「国基準の待機児童」がゼロということを指しています。最近は、新聞紙面でも「隠れ待機児童」や「潜在的待機児童」という言葉が使われるようになりました。この、「隠れ待機児童」は、京都市でも増え続けています。H26年4月1日359人、H27年4月1日461人、H28年4月1日492人となっております。年度途中では、先ほどの待機児童を除いた数字で、H26年10月1日805人、H27年10月1日851人となっております

では、この「隠れ待機児童」とは何なのでしょうか。
他に利用可能な保育園があるにもかかわらず、特定の保育園を希望して、紹介した利用可能な保育園を辞退した児童をさします。これは、親の我儘では済まされない事情があります。利用可能な保育園というのは、自宅から30分未満で登園可能という定義になっているからです。私は、中京区の南西の端に住んでいますが、北東の市役所まで自転車で30分程度です。つまり、中京区であれば、全域のどこかに空きがあれば待機児童にカウントされないということになります。働く親御さんにとっては、30分というにはかなりハードルが高いと言えます。30分だけの時間のロスに留まりません。電車で通勤などを考えると、保育園に送っていって、そこからまた通勤のための駅まで行く時間も考えなければならないからです。そうなってくると、現実的でないと辞退される方が出ても仕方ありません。

エリアによって、様々な原因がありますが、中京区で言うと堀川通より東側に保育園が2つしかない(プラス小規模保育園)ということが挙げられます。特に烏丸通より東は深刻です。これは、以前から議会でもずっと議論になっております。御所南小学校・高倉小学校、御池中学校の人気が高騰し、土地を含めた不動産価格が上がりすぎたことも大きな要因で、土地の確保と民間会社で採算を考えると手があがらないからです。一方で、小学校・中学校人気で子どもの数は非常に多くなり、需給のバランスが非常に悪いわけです。区をまたいで、上京・下京・東山・左京などの保育園に通っている児童が非常に多いのが現状です。

他の区でも様々な要因で、近隣に現実的に利用可能な保育園がないというエリアが点在しているのは、隠れ待機児童の大きな原因となっています。保育園のキャパの総量の確保だけでは、この問題は解決できません。開園困難な事情をひとつずつ個別に解決していかなければいけません。他の行政サービスでも同じですが、市民が平等に行政サービスを受けれるよう、場合によっては予算を増額してでも努力していく必要があります。

京都市の当局も、昨年までと違い「隠れ待機児童」の存在を認め、解消しなければいけない旨、答弁しておりますので、これからがこの問題解決のスタートです。