西京区沓掛にある“京都市立芸術大学”の京都駅前への移転の議論が進んでいます。京都駅東部エリアの再開発として、文化・芸術の新たなシンボルゾーンの創生が目的とされています。京都党は、主に3点から移転に反対しており、過日の予算委員会でも議案に反対致しました。

1点目は、今回の移転先である京都駅東部エリアは単なる利便性の高い場所という位置づけではないという点です。京都駅前立地は京都市の交通の中枢を担う場所であり、他の場所とは一線を画します。特に、議論が続く“リニア新幹線の京都誘致”を進めるにあたり、リニアの駅の候補地を考えるとこの場所を越える好立地はありません。今後の京都の街づくりにおいて核となる場所を、芸術大学として活用することが50年後、100年後の京都市の未来にとって有益なのか今一度考えなければなりません。

2点目は、財源及び事業の計画性についてです。芸大の施設整備については平成23年から25年までの日本音楽研究専攻研究室の新設も含め、約8億円をかけて行ってきました。キャンパス移転が予想されていたにも関わらず、施設を新設するなど、中期的な大学運営に対する事業の計画性に欠けます。さらに、移転にかかる整備費用は、約250億円となっておりますが、財源が確保されていないことも深刻な問題です。議会の質疑の中では、寄付を募って一部財源に充て、負担軽減を図るとの答弁がありましたが、景気が好調とはいい切れない社会情勢の中、文化芸術に対する寄付や協賛が増えるという見方は見通しが甘いと言わざるを得ません。二条城一口城主募金も暗礁に乗り上げているように、寄付による負担軽減が可能かどうかは懐疑的です。

3点目は、跡地活用ならびに地域住民との合意形成に関する点です。そもそも、西京区の地域住民との度重なる合意形成を図る中で、大学と洛西地域が連携することによって地域の活性化の一翼を担うということも含まれていました。芸大もようやく地域に根付き地域活性に貢献していたにもかかわらず、当該地の跡地活用や移転後の地域活性について、十分に議論がされないままキャンパス移転を行うのは問題です。

移転整備ありきで議論が進んでおりますが、改めて問題提起を続けていきたいと思います。