ここのところ、需要不足の課題に対して供給強化をする施策や、逆に供給不足の課題に対して需要喚起の施策を打ち出している政策が散見されます。改めて問題提起をしております。

<住宅買取で洛西ニュータウン再生>

高齢化と人口減少が著しい洛西ニュータウンの再生のための施策として、京都市住宅供給公社が空き家などの住宅を買い取り、子育て世代向けにリフォームして販売することが公表されました。

空き家のリフォーム販売は、本来、民間の不動産会社がやることです。これまでからも需要不足という市場原理から空き家が流通してこなかった背景があります。民業圧迫をして行政が代わりに行ったら上手くいくというのはあまりに楽観的です。

必要なのは、需要がないところに、住宅の供給を増やす施策ではなく、交通をはじめ生活の利便性をあげることで需要を生み出すことです。地下鉄の延伸は財政的に難しいですが、LRT(次世代型路面電車)など比較的低コストで整備できる交通機関を検討することが必要です。

<らくなん進都の規制緩和で企業誘致>

任天堂や京セラがある京都駅の南部地域をらくなん進都と言います。高さや容積率等の規制緩和で企業集積を目指しているのですが、土地区画整理がうまく進んでおらず、まとまった土地の供給が不足しており、思い通りに企業集積が進んでいません。

今回、新たに、容積率や建蔽率の更なる緩和が検討されています。これらは需要を刺激するもので、供給が足りない課題がある中、解決になるのか疑問です。

らくなん進都内に点在する生産緑地が土地供給不足の一因となっています。生産緑地とは、都市部で計画的に保全している農地です。10年に一度の更新なのですが、昨年度に更新したので、基本的に先10年間は固定となります。京都党は代表質問でも、らくなん進都内の生産緑地の指定解除の必要性を提案しましたが、特に対策がされないまま更新されてしまいました。

もちろん、生産緑地の必要性も理解していますが、らくなん進都で企業集積を本気でしたいなら、しっかり向き合わないといけない課題です。供給不足の中、需要喚起一辺倒ではなく、供給の課題に取り組む必要があります。

<北部山間地域への移住促進>

京都市の移住促進政策の1つとして、京北や大原などの山間地域への移住をPRしています。有難いことに希望者は多いのですが、実は、蓋を開けてみると供給できる住宅が少ないという課題があり、移住が実現しないケースが多い実態があります。

移住の需要喚起するのであれば、住宅の供給をしなければ何のためのPRかわかりません。北部山間地域は、市街化調整区域ですので、新しく宅地開発をすることができません。移住者に来て欲しいのか来てほしくないのか政策の方向性が一致していないのです。

折角、移住希望者がたくさん居て下さるのですから、局所的な都市計画の見直しなどで、供給増の対応を検討しなければいけません。