維新・京都・国民市会議員団は、議第106号令和5年度一般会計補正予算に賛成の態度を表明しておりますので、議員団を代表して討論致します。

今回の補正予算は、令和4年度決算の黒字の一部と国からの地方創生臨時交付金を活用し、高齢者福祉施設及び障碍者福祉施設等への物価高騰対策、オーバーツーリズム対策、中小企業の担い手確保・成長支援等に予算を計上するとともに、これまで特別の財源対策として取り崩してきた公債償還基金の一部復元を行うものであります。

高齢者福祉施設及び障碍者福祉施設等への物価高騰対策は、本来であれば、国の報酬改定により、物価高騰に耐えうる経営ができるようにすべきでありますが、次の改定が令和6年度であることから、本年度は厳しい経営を強いられます。補正予算での支援とともに、来年度の国の報酬改定が適切に行われるよう、国への要望も重ねて行っていただくようお願いいたします。

オーバーツーリズム対策に関しては、京都観光の回復は喜ばしいものの、コロナ禍前から顕在化していた観光課題は未だ解決に遠く、多くの市民からの不満の声があがっています。補正予算で計上されている、京都観光モラルをはじめとしたマナー啓発や手ぶら観光の推進、観光・交通事業者の担い手確保も重要な取り組みでありますが、今回の補正予算に留まらず、当初予算で計上している各種取り組みも成果が出るよう、全力を尽くして頂きたいと思います。

中小企業の担い手確保や成長支援は、継続性が求められる側面があります。今回の補正予算では約半分が臨時交付金からの財源になりますが、臨時交付金は永続的にもらえるものではありません。臨時交付金がなくなった後、過度に一般財源に負担が掛からないよう、単に補助金としてお金を渡すだけでなく、事業者が自走して担い手確保し成長できるような取組みになるようお願いいたします。

次に、公債償還基金の復元に関してです。予算委員会の質疑において、毎年35億円程度復元していくことで令和20年度までに全額を復元させること、また、出来る限り前倒しで復元するつもりであることが名言されたことは大変心強く思います。

しかし一方で、各年度の予算で10億円の復元を計上し、残りは決算での余剰金の様子を見て積み増すというやり方は、再検討が必要です。自治体の公会計は、毎年度の予算は収支が一致した状態でスタートするのが原則であり、その予算に対して決算が初めから黒字が出る前提というのは、極めて不自然な考え方です。また、決算での黒字額というのは金額も不安定であることから、令和20年度の完全復元に対しても曖昧な計画になってしまいます。

従って、予算の段階で35億円の復元を計上すべきであり、仮に決算で黒字が出たならば、当局の言う前倒しでの復元に使うというのが自然であります。

また、当局の説明を聞いていると、公債償還基金の取崩しのみを過去負債と表現しているように感じます。実際には、行政改革推進債や調整債など特別の財源対策で発行した特例的な市債、さらには退職引当債や経営健全化出資債などの特例的な市債も過去負債として認識すべきであります。

これらの特例的な市債は、強制的に償還期限がくることから、選択の余地なく返済していきますが、公債償還基金に関しては、その強制力がないことから、復元に際しても計画を曖昧にする甘えが出ております。これらを一体として考え、過去負債の返済の計画を立てて明示すべきではないでしょうか。

特例的な市債は、今後、令和13年度までは概ね毎年100億円程度の返済ですが、それ以後は逓減してきます。つまり、令和13年度以降は、その分、過去負債の返済原資に余裕が出ますから、公債償還基金の復元を上乗せで行っていくことができる計算になります。

これらをしっかり加味して、中期計画に落とし込み、過去負債をいつまでにどのようにして返済していくかを市民に明示すべきであることを申し述べます。令和6年度予算編成までに検討いただくことを要望致します。

以上で賛成討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。