本日のウェークアップで、京都市財政の特集が放送されました。

報道では、テンプレのように、「京都市は神社仏閣・学校法人が多く、高さ規制の影響もあり税収が少ない。税収が少ないのに、手厚い市民サービスを提供し続けていた中、コロナ禍で観光を中心に大打撃を受け、財政破綻の危機に瀕している」というストーリーでした。

京都市の説明がこのようなストーリーなので仕方ないのでしょうが、実態はかなり異なると私は考えています。

①京都市の歳入は政令市で上から6番目

先ず、京都市の税収が少ないという点。神社仏閣と学校法人の固定資産税が無税で、高さ規制や古い木造建築のために固定資産税が少ないこと、学生が多いため個人住民税が少ないこと自体は本当です。しかし、地方交付税というのは、そういう事情で地域差がでないためのものであり、京都市は他都市より多く受け取っています。その結果、「税収+地方交付税」の合計でみると、京都市は政令市で上から6番目となり、決して歳入は少なくないのです。

※標準財政規模=税収+地方交付税

②コロナ禍の前から破綻は見えていた

次に、コロナ禍で財政危機に陥ったのかという点。コロナ禍の影響が出る寸前の令和2年度予算編成の時点で、「特別の財源対策」を193億円も計上しています。身の丈に合わない支出を「禁じ手」で補うのは今に始まったことではありません。行財政改革計画では今後の5年間で財源不足は2,800億円と試算されていますが、コロナ禍の影響はどれだけ多く見積もっても数百億円程度です。コロナ禍が最後のひと押しをしたかもしれませんが、コロナ禍がなくてもそう遠くない未来に同じ状況になっていたのは明白です。

③福祉予算が多いのは事実だが満足度は別

最後の、京都市の市民サービスは手厚いのかという点。決算の数字上、京都市が福祉予算(扶助費)に多くお金を使っているのは事実です。しかし、漫然と総花的に補助金や給付金を出し続け、扶助が必要となっている問題の根本を解決する施策や痒い所に手が届く施策が少ないから、市民の実感値と乖離が生まれています。また、子ども医療費助成をはじめ、京都市だけ遅れている施策も多くあります。

京都市(門川市長)からは、財政危機を常に「仕方なかった」という文脈にしようとしている意志を感じ、ます。「選択と集中」や「優先順位付け」ができず、あれもこれもと中途半端に支出してきた行政運営に問題があったことを認めることが先ず必要です。