京都市の公表されている借金残高(平成27年度末時点)は、1兆7611億円となっております。公表された資料を見て頂いたら、全てこの数字になっています。しかし、実際の(外部に返済義務のある)借金は1兆8923億円あります。

さて、この差額の1312億円はなんなのでしょうか。京都市は、公債償還基金という借金返済のための貯金があります。この貯金に積み立てをしたら、実際には返済していなくても返済済みの扱いにしており、この積立額が1312億円であります。

本当は、借金と貯金の相殺は実態がわからなくなるのであまり望ましくありません。しかし、これだけなら、目くじらを立てるようなことではないかもしれません。

本当の問題は、京都市の公債償還基金には1312億円も残っていないということであります。京都市は、毎年毎年、自称黒字決算なんですが、お金が足りないので、こっそりこの貯金を取り崩してきました。その金額が326億円(正確にはうち287億円は一般会計への貸付ですが実態は取り崩し)。

1312億円のうち四分の一にあたる326億円はすでに使ってしまい、手元には986億円しかありません。もう一度言いますが、1312億円は返済済みの扱いになっているお金です。基金から確実に返すのだから、返済済みにしたはずです。でも実際にはお金はありません。

こんなややこしいカラクリを市民がわかるはずもなく、意図的に誤解を与えていると言わざるを得ません。納税者たる市民への正確な情報公開は、自治体運営において基本です。決算議会ではこの点を指摘し、改善を求めたところであります。