今回の行財改革計画は、財政破綻の延命に過ぎず、令和15年度でも収支均衡に至る計画になっていません。令和7年度までで言えば、収支均衡に至るのに必要な財源は1,200億円にものぼります。その中で、京都市が託しているのが、歳入増加策による計画の上振れ、収支均衡時期の前倒しです。

歳入増加策というとイメージしにくいですが、下記の4つに集約されます。

①手数料・使用料の値上げや市税の税率アップなど住民負担の増加
②寄付金や広告収入、市有財産の賃貸・売却などの税外収入の増加
③新税の導入
④市税(主に個人/法人住民税と固定資産税)収入の増加

「住民負担の増加」は、確実に収入増になる一方、市民生活への影響も直接でるため、あれもこれもどんどん上げるというわけにはいかず、金額的には限定的にならざるを得ません。

「税外収入の増加」については、既にロームシアターや京セラ美術館のネーミングライツをはじめ、市有財産の有効活用は数年前から出来ることは手を付けており、あまり余地が残っていません。直近で増えているのはふるさと納税(寄付金)で、これは伸びしろがありますが、不確実性も高く、市民が他都市にふるさと納税をする流出の脅威も常に存在します。

「新税の導入」は、現在“空き家税”が検討されていますが、導入までに課題が山積な上、徴税コストが高く、純額で入ってくる収入はあまり多くありません。また、財政当局にも確認しましたが、“空き家税”以外は腹案もない状態です。

「市税収入の増加」は、例えば個人住民税ならば、“労働人口”と“市民所得水準”を増やさないといけないわけですが、人口も所得水準もどの程度増やすのかの目標設定すらできておらず、言い方は悪いですが運任せと言われてもしかたない状況です。

“若い世代に選ばれる千年都市” “文化と経済の好循環を創出する都市” “持続可能性を追求する環境・グローバル都市” “「知」が集うオープン・イノベーション都市” “伝統と先端が融合するデジタル都市”などの立派なコンセプトが並びますが、具体策や実現可能性、大勢に影響を与える規模感の観点でみるとどれも絵に描いた餅です。

また、制度上仕方ないのですが、税収が増えるとそのうちの3/4の金額の地方交付税が削減されるため、実際の実入りは1/4になってしまうのもハードルです。

財政再建には、歳入増加策は必須です。しかし、金額の規模感や具体的なプロセスを示さず、「歳入増加した分が計画の上振れになり、収支均衡時期を前倒しにします」というのは、あまりにも楽観が過ぎるのではないでしょうか。

京都党も9月市会に向けて具体策の提言をして参ります。