本日、門川市長も記者発表していましたが、財政破綻を回避するための行財政計画が公表されました。要約すると下記3点になります。

①令和15年度迄に公債償還基金の取崩しから脱却する
②令和7年度に公債償還基金の残高は1,000億円を維持することを必達目標とすし、そのために歳出上限額を設定する
③歳入増加策を講じ、上記の目標を上振れさせる

これまでは公債償還基金の取崩しからの脱却は「目途が立たない」との答弁に終始していましたので、「令和15年度迄に脱却」と明言したことは一歩前進です。

しかし、12年後にようやく脱却というのは、財政破綻寸前までいくということであり、想定外のことが少しでも起これば破綻する極めて危険な計画です。リーマンショックからコロナショックまでがちょうど12年。次の12年で同程度のことが起こらないというのはあまりに楽観的です。

一方、基金残高1000億円維持の為の歳出上限設定は大きな進展と言えます。京都党が予算・決算の度にしつこく言い続けてきたのに、これまで一切耳を傾けなかったのですが、ようやく受け入れてくれました。

これをもっと早い段階でできていれば、財政再建はソフトランディングでできていたのです。これは明確に、「門川市政の責任問題」と言わざるを得ません。

京都市は歳出に対して足りない財源不足を、「特別の財源対策」としいう禁じ手で資金繰りしています。そのうちの1つが公債償還基金の取崩しです。今回、令和15年度迄に脱却すると明言したのは、公債償還基金の取崩しだけで、他に行っている禁じ手は継続される計画です。

つまり、結局は収支均衡に至っていない計画に変わりはない(=財政破綻を先延ばししているだけ)ということです。ゴール設定が破綻の延命で十分なはずがありません。計画の上方修正が必要です。

1つには、改革してもなお足りない財源不足は、職員人件費に手をつける必要があります。職員人件費だけ聖域にして街が破綻するのを座して待つわけにはいきません。京都市は、政令市平均と比較(人口差等は調整後)して年間に171億円(総人件費の約10%)も多く人件費が掛かっています。今回、年間10億円強の給与カットをしてお茶を濁していますが、総人件費の1%にも満たないものです。市民サービスを削るなら、給与カットは避けて通れません。かつての大阪府もそうでしたが、財政が立ち直れば元に戻せば良いのです。財政が立ち直るまでの時限的処置で大幅な人件費のカットが必要です。

もう1つは、発想の転換です。京都市は根本的に従前の延長の発想しかないのも問題です。どこの歳出を切るかという議論ばかりですが、歳出を下げてもサービスを維持、逆にサービスを向上させる方法に目を向けなければいけません。例えば、委託を成果報酬にするPFSや更にそこに民間資金を呼び込むSIBの活用など手法は様々あります。公共施設はPFIという手法が既に行われていますが、京都市のやり方は中途半端です。もっと大胆にやることは可能です。

テクノロジーの活用も同様です。中小企業のリモートワークのサポートをする事業を行いながら、一番リモートワークができていないのが行政です。ペーパーレスも遅々として進まず、業務プロセスの改善余地は明白です。形だけやってる感を出すのではなく、ドラスティックな業務プロセスの見直し、効率化するとともにサービスのクオリティをあげることに真剣に向き合わなければいけません。

今回の行財政改革計画、ようやく前には走り出しました。しかし、やっていることは「民主党時代の事業仕分け」と変わらず、智恵を絞った形跡が見当たりません。京都党としても生産的な提案をして参りたいと思います。