中京区選出の大津裕太です。地域政党京都党・日本維新の会市会議員団を代表して市政一般に対して、とりわけ小中学生の不登校に関して、いくつかの視点から質問して参ります。

 今年の10月に、文部化科学省が公表した調査結果によると、全国の小中学校で令和3年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒は24万4940人となり、前年度より24.9%も増加して過去最多となりました。10年前と比較すると、小学生は3.6倍、中学生は1.7倍となっています。京都市内の小中学校で見ても、不登校の児童生徒数は令和元年度1537人、令和2年度1797人、令和3年2022人と全国の傾向と同様に著しい増加傾向にあります。

 更には、これらの数字には、病気・けが・経済的理由・コロナ感染回避を理由とした長期欠席や、放課後登校や保健室登校などの不登校傾向の児童生徒は含まれていないため、これらの児童生徒も含めると公表数字の倍以上の子ども達が不登校に苦しんでいる状況にあります。また、子どもの不登校は保護者にとっても大変苦しく、「原因が自分にあると自分を責める」「悩みを相談できず孤独感・孤立感を感じる」などの声を多く聞きます。
 
 不登校の数が増えていることは、いじめの認知件数が増えることが必ずしも悪いことではないのと同じように、これまでから既に子ども達に内在的に起こっていたが、子ども達の我慢と言う犠牲のもとに表面化してなかった事案が、社会環境の変化の中で表面化しているという側面もあります。しかし、不登校がきっかけで、成人後もひきこもるケースも少なくなく、長期化すれば、ひきこもりのわが子を支える親が高齢者になり家庭で支えきれなくなる8050問題にも繋がります。将来のある子ども達が、社会で活躍してもらえるよう、不登校の問題は優先して取り組むべき課題と考えます。

 不登校の問題が難しいのは、不登校の原因や本人の感情は千差万別で、どう対応すれば良いという一律の答えがないことです。登校促しや登校刺激なども逆効果になるケースが多く、学校も保護者も対応が非常に難しいのが現実です。学校復帰を目指しながらも、学校復帰だけをゴールにする固定概念を捨て、1人1人が最終的に社会で活躍できるように様々な選択肢がなければなりません。

 本市でも、これらの現状を踏まえ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、保護者や教員の相談を受けながら、学校外の関係機関とも連携しながら課題解決に先進的に取り組んでおります。

 1つ目の質問は、不登校の予防に学校現場はもう少しできることがないのかという視点です。文部科学省は毎年「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を行っており、主に学校の教員が回答した不登校の要因が発表されています。一方、令和元年にNHKが不登校当事者の児童生徒本人に不登校の要因についてアンケート調査を実施していますが、文部科学省の結果と大きく乖離がありました。

 教員が回答をしている文部科学省のアンケートでは、「教員との関係」2.2%、「いじめ」0.4%、「部活動」2.7%、「決まりや校則」3.5%と学校生活に関連する項目の要因が極めて低い中、子どもらが回答しているNHK調査では全ての同じ項目がそれぞれ軒並み20%を超えており、学校現場で適切に要因を把握できていない、もしくは、アンケート回答の段階でバイアスがかかっていることが推察されます。これらは、京都市のデータではなく全国のデータではありますが、京都市も同様の傾向があるのではないでしょうか。未然に防げる不登校もあるのではと感じますが、これらの調査結果の差異をどう捉えておられるか、また、教育現場で改善できることはないのか、お答え下さい。

 2つ目の質問は、不登校生徒の居場所作り、学校復帰、社会での活躍に向けた取組みの改善についてです。

 本市では、洛風中学・洛友中学と不登校特例校が2校あり、別室登校ができる「ふれあいの杜」を5か所設置し、また、こどもパトナで相談を受けるなどの取り組みがされています。最近では、GIGA端末の活用も進み始めています。

 同時に、本市のこれらの取り組みではなく、フリースクールに支援を求める児童・保護者も多くおられます。これは、本市の取り組みが悪いということではなく、本人に合った場所に行くことが望ましいわけですから、選択肢が広がっているという点で良いことだと感じます。実際に、「NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が先月したアンケート調査では、8割を超える保護者が「フリースクールが助けになった」と回答しています。

 本市でも、フリースクールとの連携は前に進んでおり、所属している小中学校の校長の判断で、フリースクールへの登校が出席にカウントされるようになっております。フリースクールも千差万別で、不登校解消に向けた取り組みを熱心に行う校もあれば、単純な居場所に提供に留まるところもあり、一律で括りにくいため、単位認定に際して、フリースクールに細かい報告を求めることは理解できます。

 しかし、一方で、学校側からフリースクールへの情報提供は極めて少なく、情報が一方通行になっているとの声を聞きます。個人情報の課題もあるかと思いますが、フリースクールで子どもに向き合うにも、その子どもの背景や事情を出来るだけ把握できている方がより最適な対応ができます。個人情報の課題も保護者の了承を得るなどの工夫で乗り越えられるのではないでしょうか。子ども達へのより良い教育・指導、居場所作りのためにも、もう少し双方向の情報提供、情報共有が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか?

 3つ目の質問は、不登校児童を抱える家庭の経済的な観点です。

 前述と同様の「NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が行った調査では、子どもが不登校になったことで、91.5%の保護者がフリースクール代など費用で「支出が増えた」と回答しており、また、32.0%の保護者が子どもへの対応などで働き方を変えるなどの理由で「収入が減った」と回答しています。

 フリースクールの学費は、文部科学省の調査では平均月3万3000円となっています。登校頻度が高いともう少し高額になりますし、通学に掛かる交通費も掛かります。これらの経済的負担は決して小さくなく、経済的理由でフリースクールへの登校を諦め、不登校解消の機会を失う子どもがいることは避けなければいけません。

 他都市を見ると、東京都は不登校の調査研究協力を名目に月1万円の補助を出しており、大阪市は塾代助成の月1万円がフリースククールにも使えます。草津市では、負担割合を50%とした上で月上限4万円の補助を出しています。福岡県では、フリースクール運営団体に最大200万円の補助金を出すことで学費の減額に繋げています。

 本市は財政状況が厳しい中ですが、不登校でかつフリースクールを利用する児童生徒の絶対数はそこまで多くないことから、財源的にも負担は限定的です。京都市でもフリースクールへの登校に対して経済的支援を検討できないでしょうか。

 4つ目の質問は、発達障害を抱える児童の不登校に関してです。

 不登校になる児童の一定割合が診断の有無は別として発達障害の傾向がある児童であることは、関係機関でも把握されています。発達障害の傾向がある児童の場合、療育などを通じて、社会適応性を向上させることが不登校解消に大きな効果があります。実際に療育を受けた子ども達が、学校に戻るようになった要因として「無理なことは断れるようなった」「言わないといけないことを伝えられるようになった」「やらないといけないことに向きあえるようになった」「求められていることがわかるようになった」等を挙げています。

 本市でも、児童療育センター等が子どもの療育を行っていますが、いずれも就学前の子どもが対象になっており、小中学生は活用できません。小中学生には、LD等通級指導教室の設置などの取り組みがされておりますが、性質上、必ずしもすべての児童にとって活用しやすいものではありません。また、放課後デイサービスも療育を担っていますが、専門的に療育を行っている施設はまだまだ少なく、単なる預かりや学習塾的支援、習い事的支援にとどまっている施設も多くあります。

 療育の必要性や重要性を周知するとともに、療育を希望する児童・保護者が、切れ目なく療育を受けられる環境を民間の力も活用しながら拡充すべきと考えますがいかがでしょうか。

 5つ目の質問は、障害認定の地域格差とそれに紐づく特別児童扶養手当の受給の有無についてです。

 発達障害の場合、障害認定や特別児童扶養手当の受給が選択肢に入ります。しかし、広域で療育に関わっている方々や保護者のご意見を聞くと、京都府下でも認定に地域格差があるという声が多くあります。

 近隣の京田辺にある「京都府立子ども発達支援センター」や亀岡にある「花ノ木医療センター」に比べて、本市の「京都市児童福祉センター」では、発達障害の障害認定が下りないケースが多く、また児童福祉センターでおりなかった障害認定が、民間の医療機関で再度診断すると認定されるというケースがよくあるという声です。

 これらは、地域によって差があるべきものではありません。また、障害認定はしない方が良いと窓口で言われたという保護者もおられます。本人への開示や外部への開示をするかしないかは保護者の判断であり、特別児童扶養手当をはじめ様々な支援を受けられないデメリットを押し付けるべきものではありません。

 本市の発達障害の障害認定の実態を確認し、地域格差は本当にないのか、必要な方に行政支援が行き届いているのかを改めて見直していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

以上で、代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。