参議院選挙も本日で最終日、明日、投票日を迎えます。18歳・19歳に焦点が当たっていますが、20代・30代の皆様(当然、もっと上の世代)も投票に行って頂きたいと思います。

今回は、国政が地方政治に大きく影響を与えている「地方創生」について書きたいと思います。言葉だけ聞くと地方の自主性を高めるように聞こえる「地方創生」ですが、残念ながら地方分権とは真逆であり、地方の自主性を抑え込む中央集権的政策です。

地方分権とは、国家と地方自治体の役割分担を見直し、“ニアーイズベター”の考え方のもと、日常生活に関連する行政活動は住民に近い自治体で、地域の特性や事情に合わせた政策を裁量権をもって行えるようにしようというものです。そのためには、国にお伺いを立てなくても決めれる「権限」と実行を担保する「財源」と「人間(人材)」を地方に移譲しなければなりません。

地方自治体の収入は、地方債を除くと「地方税」「地方交付税」「国庫補助金」が大きな3本の柱となっています。「地方税」と「地方交付税」は、自治体が何に使ってもよい「一般財源」であるのに対し、「国庫補助金」は、国が決めた用途にお金を使うならお金を出しますよという「特定財源」であります。「国庫補助金」は国が自治体の政策誘導するものであり、地方の自主性を抑制するものでありますから、その財源を「地方税」か「地方交付税」として地方自治体に渡し、歳出の自由を与えることが「地方分権」の考え方からは望ましいわけです。

さて、そんな中、現政権が進める「地方創生」は、毎年数千億円規模の財源を用意し、地方活性化に資する事業を募った上で、“国が認めた”事業についてはお金を出しますという政策です。加えて、国が提示しているメニューに入った政策を行った自治体には多くお金を渡すということになっています。

つまり、国からの評価が高い自治体や、国の言う通りの政策を行う自治体にはお金をまわすけど、そうでなければ、まわすお金を減らしますということを意味しています。これは、国の地方自治体への介入強化であり、自治体の国への依存度を高め、自主性を奪うことに他なりません。国が決めた方向で自治体が全国画一的な政策を行うように誘導する政策なのです。そんな財源があるなら、年々金額が減らされている「自由に使える普通の地方交付税」をしっかり担保することの方がよっぽど有り難いわけです。

私は、地方分権を是とする考え方ですので、地方創生は評価しておりません。様々な立場の方がいるでしょうが、参院選の投票の参考になれば幸いです。