先日の報道でもありましたが、2016年度の京都市の外国人観光客数が前年比で大幅に増加し、観光客数、観光消費額数ともに過去最高を更新しました。観光が京都市の経済に恩恵を与える影響が足りない要因として「日帰り客が多く、宿泊客が少ない」「お土産などの観光消費が少ない」ということがよく言われておりましたが、一定改善方向にあると言えます。まだまだ、市民からは観光の恩恵を感じないという声も多くありますが、全体としての京都経済に良い影響をもたらしています。 

さて、「京都は、観光も好調なのに何で借金が減らないの?」市民からも他都市の方からもよく聞かれる質問です。これは、観光が経済に与える影響ではなく、観光が税収に与える影響を考えなければならず、「市」の税収の構造を知る必要があります。

京都市の市税収入は約2,500億円です。内訳は固定資産税が1000億円、個人住民税が800億円、法人住民税が300億円、都市計画税200億円、たばこ税100億円、その他100億円となっています。

「市」にとっての一番の財源である固定資産税・都市計画税は、構造的に他都市と比べて少なくなっています。京都市は戦火を免れたこともあり、古い家屋が多く、税の算定上の建物の価値が低いことや、寺社仏閣・大学など優遇措置を受ける建物が多いことなどが原因です。安定財源である一方、観光等による経済の影響を受けません。

次に大きな財源である個人住民税は、人口と所得により増減しますが、人口は現状維持・やや減少傾向であり、平均所得は他都市に比べ低いことがわかっています。個人所得の向上は税収に貢献しますので、観光がプラスの要因になっているのは間違いありませんが、まだまだ市全体で所得に反映され実感されるには至っておりません。また、観光関連産業は、非正規雇用が多い為、個人所得の向上が目に見えて進まないのも課題です。

法人住民税は、事業者の業績により増減しますが、業績に連動する税収は主に国と府に入る税制となっております。その為、観光が好調になっても、事業者の業績に連動する税収は主に国と府に流れており、「市」の増収はごく限られたものとなっています。

一般的に「市」は安定財源で景気等に左右されにくい税収構造に、「都道府県」は安定財源ではないが景気の恩恵を受ける税収構造になっているというわけです。加えて、京都の場合は寺社仏閣におちる観光消費が非課税なことも大きな要因の一つとなっています。ちなみに、また別途書きたいと思いますが、京都党はヨーロッパで実施されている「スター制の宿泊税」を観光税として導入すべきという提言を行っております。

参考までに、それ以外で観光が市にもたらす果実としては、地方消費税⁽消費税の一部が国から府を経由して分配される⁾の取り分が増えること、観光客が利用することによる市営地下鉄・市バスの収益が増えること等があるかと思います。

観光を盛り上げつつ、定住人口の増加や所得向上⁽特に若者⁾による住民税の増収、法定外新税による新たな財源確保など様々な施策を今後も提案、議論していきたいと思います。