京都市の令和7年度決算における経常収支比率は99.7%でした。令和6年度の100.4%からは改善したものの、依然として財政の余裕は極めて乏しい状況です。

 経常収支比率とは、毎年入ってくる税金などの使い道が自由な財源のうち、人件費や福祉、借金返済など、毎年かかる経費に充てられる割合です。家計でいえば、収入に占める固定費の割合に近いものです。数値が高いほど、新しい政策や課題への対応に振り向けられる財源の余裕が少ないことを示します。

 99.7%ということは、経常的な一般財源のほぼ全てが、経常的な経費に充てられているということです。その差はわずか0.3%。金額にすると、13億円程度にすぎません。

 もちろん、この13億円が、そのまま新しい政策に使える財源の総額というわけではありません。事業ごとの国の補助金や市債など、別の財源もあります。しかし、1兆円規模の予算を持つ京都市で、将来への投資に主体的に振り向けられる経常的な財源の余地が、これほど小さいという現実は重いものです。

 京都市の税収は過去最高となり、収入は増えています。一方で、人件費や資材費の上昇、金利の上昇などにより、支出も増えています。収入が増えても、それが財政の余裕につながりにくい状況にあります。

 その年度の収支の実態を最も正確に表している指標である「実質単年度収支」を見ると、令和5年度は11億円、令和6年度は83億円、令和7年度は40億円の赤字となっています。

 以前の財政危機のように、急激な悪化によって財政破綻が懸念される状況からは脱しています。しかし、実質単年度収支の赤字が続いている以上、持続可能な財政運営を確立したとは言えません。

 目前の危機を脱したからといって、改革の手を緩めてはなりません。むしろ、危機が深刻化する前に、継続的な行財政改革を進める必要があります。

 切羽詰まってから改革に着手すれば、短期間で大きな財政効果を求めざるを得なくなります。その結果、サービスの削減や市民負担の増加に偏り、市民生活に痛みを伴う改革になりやすくなります。前回の行財政改革計画の経験を、繰り返してはなりません。

 余裕を持って中期的に取り組めば、業務の見直しやデジタル化によって、サービス水準を維持しながら効率化を進められます。民間のノウハウを活用し、コストを抑えながらサービスの質を高めることも目指せます。だからこそ、危機が迫ってからではなく、今から改革を積み重ねることが重要です。

 松井市政になってから、数値で検証できる目標や、中期的な達成期限を明示することに消極的な姿勢が見られます。しかし、目標が曖昧なままでは、改革が十分に進んでいるのか、市民も議会も検証できません。

 経常収支比率をいつまでにどの水準へ改善するのか。実質単年度収支の赤字をどう解消するのか。そして、未来への投資に必要な財源をどれだけ生み出すのか。こうした財政目標と達成までの道筋を明確にし、毎年度、進捗を検証すべきです。

 行財政改革は、単に支出を削るためのものではありません。今の市民サービスを持続可能なものにし、次の世代に必要な投資を行うためのものです。危機を回避する財政運営から、未来への投資を可能にする財政運営へ。その転換に向けて、明確な目標を持った改革を進めるべきです。