京都市の財政破綻を回避するための行財政改革計画が、市民から意見を募集するパブリックコメントを経て、確定案として公表されました。京都党も過日、目標の上方修正などを求める要望書を提出しましたが、大きくは変更なく確定案となりました。

そんな中ではありますが、今回新たに、行財政改革による歳出削減をしてもなお足りない160億円の財源不足を、コロナで落ち込んだ約70億円の財源を回復させることに加え、市税税収を400億円増加させ100億円の財源(税収が増えると交付税が減る)を確保することで解消することが公表されました。

一口に400億円の税収増と言いますが、京都市の過去最高の税収は約3,000億円でありますから、最高時の税収の13%にものぼる数字です。

また、経年の税収を見ると、H30年に市税収入が大幅増していますが、これは(その分の支出も増える)制度改正によるもので、純粋な税収増はH23年からの直近約10年で150億円程度ですから400億円というハードルの高さがわかります。

400億円の市税収入を増やすために、下記のような目標数値が掲げられています。

(個人市民税や固定資産税を増やすための数値目標)

・納税義務者数 6%増(4万人増)
・市内GDP 9%増(6,000億円増)
・新築住宅着工数 10,000戸/年
・商業施設、オフィス延床面積 10%増(1,200千㎡増)

これは、若者世代を増やし、住居やオフィスを増やすことで、市内の経済を活性化することで、税収を増やすという計画です。

しかし、若者世代の流出や住宅・オフィス供給不足などは京都市の基礎的課題と設定されています。つまりは、弱点として課題に挙げている項目ばかりです。

具体的な打開策がなく、抽象的な戦略だけが並ぶ中で、基礎的課題として設定されている項目で、高過ぎる数値目標を達成できるとは思えません。実現可能性をしっかり吟味したのか極めて疑問です。

冒頭に、160億円の財源不足を170億円の収入増で解消する計画と書きましたが、160億円というのは基金の取り崩しで穴埋めしている分であり、実は別で更に70億円の財源不足があります。本当の財源不足は合計230億円です。

つまり、高過ぎる税収目標を達成してもなお、60億円も財源不足が残るのです。

今回の税収増計画は、令和15年度までに達成するとなっています。干支が1周する先の話なのです。市税収入はもちろん少しずつ増えていくものですが、230億円の財源不足は来年から毎年やってきます(令和8年度以降は財源不足が更に増える試算)。

財政破綻を回避するには、楽観的かつ悠長すぎます。

京都市の財政再建にとって税収増は必須であり歳出削減と同様に最重要項目です。しかし、不確実性と時間を要するものであり、税収増頼みは極めて危険です。

過日、京都党からの要望書にも書きましたが、現状の財源不足の出血を止めるには、他都市より高い職員給与のカットをせざるを得ないと私は考えます。